他が出さないところに店を出す

5つ目が、巧妙な出店戦略だ。

スターバックスは大都市の中でもどこにでも出店ができるわけではない。最も多いのが商業地(ショッピングモール内)であり、次がオフィス街となっている。

スターバックスはブランドイメージもよく、ショッピングモールからの出店依頼が多い。

一方で、学生街が空白地帯になってしまっている。中国の大学生たちは、原則学生寮に住み、自由になるお金をあまり持っていない。そのため、大都市の中でも学生街は安くておいしい飲食店が集中をしている。

学生はスターバックスを飲むことに躊躇をし、ラッキンやさらに低価格のコンビニコーヒーを利用している。ラッキンは、スターバックスが出店をためらう地域をねらって店を出すことで、市場を獲得している。

都市級別の出店割合を見ると、ラッキンの戦略がよくわかる。

一線都市ではオフィス街に特化をし、新一線、二線都市では学生街に重点を置き、地方都市では商業地というように、戦略を都市の規模に合わせて変えている。これも、高品質、低価格、スタンド店という特性により多面展開が可能になっているからできることだ。

ラッキンを待ち受ける意外なライバル

スターバックスは「2025ビジョン」で300都市9000店舗に展開することを宣言した。

このスターバックスの計画に対する評価は二分されている。

スターバックスが中国で本気を出したという人もいれば、あまりに無謀すぎる計画で失敗をすることになると見る人もいる。

いずれも一致をしているのは、質の高いコーヒーを快適な空間で飲んでもらうというサードプレイス戦略をそのまま行うのでは、地方都市進出は難しいということだ。

ラッキンもいま以上の成長をするには、地方都市に本格進出をしていかざるを得ない。だが、そう簡単にはいかない。地方都市には強力なライバルが待ち構えているからだ。