2022年打率は前年の.257から.273へ

200打席ほどを消化した5月終盤から、ようやく打率が安定してきた大谷は、その後も打撃フォームの微調整を繰り返した。最終的には、2021年の2割5分7厘を上回る2割7分3厘を記録した。

打率向上に取り組んだ結果、様々な成績で好影響が確認できる。

2021年はファストボール系(4シーム、2シーム、カットボール、シンカー)に対しては、打率2割7分4厘、空振り率30%だったが、22年は打率2割9分7厘、空振り率23.1%。ブレイキングボール系(スライダー、カーブ)に対しては、打率2割3分9厘、空振り率40.7%だったのが、打率2割8分7厘、空振り率35.1%と向上した。

野球選手
写真=iStock.com/Dmytro Aksonov
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ただ、オフスピード系(スプリット、フォーク、チェンジアップ)に対しては、打率2割4分0厘、空振り率39.9%だったのが、打率2割0分3厘、空振り率30.1%と数字を落としている。この悪化の要因は容易に説明がつく。

21年の打者大谷は、全打席中75.4%の割合で極端な「大谷シフト」を敷かれたのに対して、22年は、全打席中88.3%の割合で敷かれたのだ。極端なシフトが敷かれていなかった場合、オフスピード系に対する大谷の予想打率は、21年を上回る2割4分8厘となる。

打率向上への意識は、打球方向にも現れている。2021年は、右方向に引っ張った打球の割合が46.6%だったのに対して、22年は36%。センター方向への割合は、30.6%に対して36.2%。左方向へは、22.9%に対して27.8%と、全方向へ打ち返していたことがわかる。そして、日米問わず、「初球からバットを振れる打者は好打者」と称されるが、22年の初球を振る確率は、キャリア最高となる41.6%を記録した。