※本稿は、AKI猪瀬『大谷翔平とベーブ・ルース』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
2018年、21年はスプリットを最大の武器に奮闘
投手としてさらなる進化を遂げた2022年の大谷翔平。
MLB1年目の2018年は10先発で、19年は右肘腱移植手術の影響で登板なしだった。20年は2先発、21年は23先発。そして、22年は28先発を記録した。
2018年の球種の割合と平均球速は、ストレート46.4%、155.7キロ。スライダー24.6%、131.2キロ。スプリット22.4%、140.6キロ。カーブ6.6%、119キロとなる。1年目の最大の武器は、被打率0割3分6厘、空振り率は驚異の56.4%を記録したスプリットだった。
右肘腱移植手術から完全復活となった2021年は、ストレート44.1%、153.9キロ。スライダー22%、132.3キロ。スプリット18.3%、142キロ。カットボール12.1%、139.9キロ。カーブ3.6%、120.3キロだった。このシーズンでも最大の武器は、被打率0割8分7厘、空振り率48.5%を記録したスプリットだったが、シーズン中盤以降に使用頻度が増したカットボールがよいスパイスとなり、効果を発揮した。
トミー・ジョン手術を受けた大谷に起こった変化
1974年にドジャースのチームドクターを務めていた、フランク・ジョーブ医学博士によって考案された靱帯移植手術。最初に手術を受けた左腕投手トミー・ジョンの名前から、この手術は通称「トミー・ジョン手術」と呼ばれるようになった。トミー・ジョンが手術を受けた当時は、再び投球できるまでに回復する確率は1%程度とされていたが、医学の発展と術後のリハビリ方法が飛躍的に進歩を遂げたことにより、現在では97%近い成功率と言われている。
手術を受けた選手は、リハビリを経て、約15カ月後には実戦復帰できるとされているが、実際に万全の状態に戻るまでには、18カ月以上の日数が必要とされている。
大谷は、2018年10月1日にロサンゼルス市内の病院で、エラトロッシュ医師の執刀によるトミー・ジョン手術を受けた。