変化球の球速が大幅にアップ
リハビリを消化した大谷は、2020年7月26日のオークランド・アスレチックス戦で、18年9月2日以来、693日ぶりの復帰登板を果たしたが、1アウトも取れずに降板する。
続く8月2日のヒューストン・アストロズ戦では、2回中盤から急速にスピードが落ちてしまい緊急降板。その後の検査で右肘の故障が発覚した。トミー・ジョン手術の経験者であるダルビッシュ有は常々、「術後、完全に戻るのに24カ月はかかる」と語っている。その言葉どおりに大谷は、2021年に完全復活を果たし、22年をむかえた。
2022年は、スライダー39.1%、137.2キロ。ストレート27.6%、156.5キロ。スプリット12%、143.7キロ。カットボール9.1%、145.6キロ。カーブ8.6%、125キロ。シンカー3.7%、156.4キロという内訳だった。
2018年とは大きく球種の割合が変化しているが、特筆すべきは、各球種の平均速度である。
18年と比較すると、ストレートは155.7キロから156.5キロ。スライダーは131.2キロから137.2キロ。スプリットは140.6キロから143.7キロ。カーブは119キロから125キロへと大きく向上している。この平均球速のアップが、トミー・ジョン手術を受け、復活を果たした21年を経て、22年にさらなる進化を遂げた証しである。
「より速く、より強く、より正確」に進化
球速が増した大谷は、アメリカンリーグ1位となる9回平均11.873奪三振を記録。219奪三振はリーグ3位だった。制球力も安定して、2021年は130回1/3を投げて54与死四球、9回平均与四球率3.0。22年は166回を投げて、46与死四球、9回平均与四球率2.4を誇った。
200奪三振以上を記録したアメリカンリーグの投手で、与四球率で大谷を上回ったのは、与四球率2.2を叩き出したヤンキースの奪三振王ゲリット・コールしかいない。22年の大谷は、「より速く、より強く、より正確」に進化を遂げたことになる。