ラーメンを食べるとシャワーが無料

① 400メートル手前からでもわかる看板
赤字に白文字がとにかく目立つ看板
筆者撮影
赤字に白文字がとにかく目立つ看板

山岡家の特徴は、とにかく看板が目立つということです。これは郊外型店舗がもっとも力を入れなければならない点です。山岡家の看板には他社よりもひときわ大きな文字サイズで「ラーメン山岡家」と書かれています。

さらにポール看板が必ずついているので、400メートルほど遠くからでも座席位置が高いトラックドライバーの目に必ず入るようになっています。

② 大型トラック用の駐車場とシャワー室

山岡家のメインターゲットはトラックドライバーです。ですから駐車場を広くとり、大型トラックが10台以上駐車可能なスペースを確保している店が多いのです。

山岡家ではシャワー室を完備している店もあります。私が確認できた店では北海道の苫小牧船見店、埼玉の羽生店など13店舗ほどが設置しています。

店内で飲食すればシャワーを無料で使えます。24時間営業店がほとんどですから、トラックドライバーにとってはまさに聖地。

工場や倉庫などから別の事業所や店舗などに定期的に物を運ぶことが多くなります。同じルートを一定の周期で通ることも多い。決まったルート沿いに、いつでも休める店があれば固定客になりやすいわけです。山岡家はそこを狙っているのです。

郊外立地に出店することは経営メリットも非常に大きくなります。特に家賃。小売り・サービス業にとって家賃を抑えることは一番の収益性アップ要因。広い面積を借りても、都心で商売することを考えたらかなりの低家賃で済みます。

24時間営業をやめない理由

ラーメンチェーンを主業態にしている幸楽苑と一風堂(力の源HD)で比較すると、山岡家の安定した収益性がよく分かります。

【図表】大手ラーメンチェーンの損益比較表

21年は飲食業界はコロナ禍で休業を余儀なくされ、大打撃を受けました。しかしその21年にも山岡家は利益を出しています。

多くの飲食店が24時間営業をやめるなど時短の決断をした中でも、24時間営業を続けているというのも結果的には売り上げを安定させる一因になっているでしょう。

コロナ禍以降、ファミレスなどでは24時間営業をとりやめる店も増えました。しかし山岡家はトラックドライバーの聖地ですから、24時間営業をやめることはしません。24時間営業は必須なのです。山岡家の営業スタイルは今の世の中のエッセンシャルワーカーの支えにもなっていると言えます。