増収増益のヒントは、すべて現場にある

創業社長は、「仕事を取ってこなければ、会社が潰れてしまう」ため、好きも嫌いもなく、必死に営業をします。一度や二度、断られてもくじけない。飛び込み営業も厭わない。

ところが2代目・3代目の社長は、創業者に比べるとストレス耐性が低い。「恥をかきたくない」「門前払いにされたくない」「頭を下げたくない」という気持ちが先立ち、営業担当者(営業部門)に任せきりです。

創業者の体得した知見・経験・体験は、2代目・3代目社長には継承できません。自分で経験をして勝ち取るしかないのです。

社長の仕事は、「社長室」にあるのではなく、「現場」にあります。赤字になった理由も、増収増益のヒントも、真実はすべて現場にあります。

社長室に引きこもっていては、組織を強くすることは不可能です。

社長は営業から逃げてはいけない

会社を変える最初の一歩は、

「社長が積極的に外に出て、新規顧客の開拓と既存顧客の保全に努める」
「社長が積極的に外に出て、自社を良くするための情報を入手する」
「社長が積極的に外に出て、さまざまなものを見聞し、恥をかき、失敗をし……を繰り返す」

ことです。

会社を守るためにも、社員を守るためにも、社員の家族を守るためにも、お客様を守るためにも、社長は営業から逃げてはいけない。「自分が現場に出なければ、会社・組織は弱くなる」と覚悟を決め、腹をくくるしかありません。

このように、「代表取締役社長」の肩書きには「力」があります。ですが、その「力」は、社長の「虚栄心」を強くするためのものではありません。

虚栄心とは、

「見栄を張りたがる心」
「自分のことを実際以上によく見せたがる気持ち」

のことです。

社長が頭を下げるほど、業績が良くなる

虚栄心の強い人は、

「相手の意見を素直に聞き入れられない」
「自分の失敗や過ちを認められない」
「自慢話が多くなる」
「『一目置かれたい』という気持ちが強い」

ため、人に頭を下げることができません(だから、営業も苦手です)。

社長の中には「頭を下げると、自分の値打ちが下がる」と思っている人がいます。ですが私は違います。

「社長が頭を下げるほど、業績が良くなる」
「社長が頭を下げると、信頼を得られる」
「社長の値打ちよりも、会社の値打ちを下げてはいけない」

小山昇『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)
小山昇『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)

と考えています。

だから私は、お願いをするときも、謝罪をするときも、感謝を伝えるときも、頭を下げています。

見栄を張らない。虚栄心は持たない。プライドはいらない。

私がほしいのは、「小山昇と武蔵野はすごい」という賞賛ではなく、「数字」と「信頼」です。それがわかれば、頭を下げるのに、なんの苦痛も感じなくなります。

恥も、見栄も、世間体もかなぐり捨て、必死にならなければ、強い組織をつくることは不可能です。

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