これからの働き方はどのように変化していくのだろうか。みらいワークス社長の岡本祥治氏は「今後は優秀な人材であればあるほど、自らのスキルや時間を複数の会社や仕事に振り分ける働き方を選ぶ人が増えていく。本人が取るに足らないと思うスキルでも、例えば地方の中小企業では重宝がられるということがある」という――。

※本稿は、岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

群衆と異なるコンセプト
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転職したくても、できない理由

「転職したい」と思いつつ、しかし「転職できない」事情を背負っている人もいるでしょう。

「今ある“安定”を手放せない」
「転職で成功するのは、一部のバリキャリだけだろう」
「家族(配偶者)に反対される」
「転職したくても、日々の業務で忙しくて、転職活動をできない」
「この年齢では、どこも採ってくれないだろう」

など、いろいろな思いもあるはずです。分かります。

天からの声で、「この転職は人生最大の成功ですよ」とお墨付きをもらえない以上、あらゆる選択は、リスクを伴います。本当に今ある安定を手放した先に、幸せが待っているのか。この本に書いてあることを、本当に信じていいのか? そんな疑念もあるでしょう。

しかしだからこそ、恐る恐るでも最初の一歩を踏み出してほしいのです。

ポータブルスキルで生き抜くフリーランス

では実際に、ポータブルスキルを使って生き抜いている人たちは、どのような判断で、彼らなりの道を選んだのかを見てみましょう。

フリーランス人材に、「どうしてフリーランスを選んだのですか」と聞いてみると、「自分で仕事を選べるから」というのが理由の上位に挙がります。組織や会社にいれば、給料をもらっている手前、与えられた仕事を「これはいやです」と断ることはできません。別の見方をすれば、少々いやでも、与えられた仕事さえ頑張れば、毎月同じお給料をもらえて、昇給もしていく仕組みだということですね。

しかし、フリーランスになれば、「仕事を選ぶ」ことができるようになります。安定したポジションや、毎月決まった給料が得られる権利を失う代わりに、「自分の意に染まぬ仕事はやらない」という選択をすることができる。いくら依頼主が大企業でも、提示された報酬が高くても、その企業の方針に違和感を覚えたり、社会的に共感できない仕事だったりすれば、「この仕事は受けない」と断ることができるのです。

逆に言えば、フリーランス人材はプロジェクトに社会的意義があったり、共感を覚えたりすれば、仕事を引き受けます。知名度が多少なかろうが、報酬が多少低かろうが、それこそが彼らの「ライフワーク」であり、自らの「ポータブルスキル」を更新できるチャンスだと分かっているからです。