加速する「フリーランス」へのシフト

別の見方をすれば、それだけ日本という国は、「個人」への信用ではなく、会社という「組織」への信頼で、すべての価値を判断してきたとも言えます。

その相手のお父さんは当時60代で、今は70代になっています。もしかしたら新卒からたたき上げで、40年間1つの会社で勤めあげた方だったのかもしれません。

そんな立場の方から見ると、「フリーランス」など、「信用の置けない」「地に足がついていない」「組織では働けない人間」と思えたのかもしれませんね(本当は「フリーランス」こそ、確かな能力や人間性がないと、やっていけないものなのですが……)。

しかし、時代は変わりました。「フリーランスで働いている」「フリーランスとして将来働きたい」という言葉も耳にする機会が増えました。実際に大企業の中で正社員や契約社員に混ざり、事業に参画する「フリーランス」も増えています。

むしろ、従来型の終身雇用制を、「たった1つの会社で雇用され続けようとする、企業依存タイプの働き方」という視点で論じるメディアも出てきているほどです。今後、この流れは加速度的に進んでいくでしょう。

10年同じことをやり続けたら、コモディティ化する

もっとも、「企業で働いていたほうが、身に付けられるスキル」というのも、私はあると思っています。基本的に、企業は「外部人材を育てよう」などとは考えません。フリーランスはすでに実力があって当然。そのスキルを買うからこそ、あえて正社員よりも高い単価で外部に発注するのです。

ということは、「フリーランス」であり続けることの1つの落とし穴は、「成長の機会を与えられない」ことだと言えるかもしれません。

「さっきと言っていることが違うだろう!」
「フリーランスの成長スピードは速いんじゃなかったのか!」

と怒らないでください。これはフリーランスも会社員も同じように陥りやすい落とし穴だからです。

どんな職場でも、どんな分野でも、「10年同じことをやり続けたら、その領域はコモディティ化する」のです。伝統工芸品の職人でもない限り、世の中の技術革新は日進月歩です。10年前、20年前に身に付けた知識やスキルは、アップデートしていかないと、時代遅れになります。