空間・時間の制約から解放される

この働き方に慣れてくると、正直なところ、自分はどこの企業に属しているのかという所属意識が曖昧になってきます。

「会社って、何のためにあるんだっけ?」
「企業に雇用され続ける意味ってあったっけ?」

そんな疑問が胸に湧き起こった人も少なくなかったはずです。

「だったら、フリーランスになってもやっていけるのではないか?」

そう気づき始めた人が出てきたということです。

「会社に“いる”ことで発生する業務への報酬」を得られるのが会社員。

「仕事の成果物・アウトプットに対する報酬」を得られるのが、フリーランス人材。

自宅のスタジオでコーヒーブレイクをしている日本
写真=iStock.com/visualspace
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今や、このように分けられるかもしれませんね。コロナ禍では、「立場は前者なのに、中身は後者」という錯綜した働き方を、多くの人が経験しました。ジレンマやトラブルも発生したでしょう。比較的若い層は、「仕事でアウトプットさえしっかり出せば、空いた時間は自由に過ごしてもいいのでは?」と感じていた一方で、シニア層は、遠隔でも“いる”ことを重視して、「きちんとパソコンの前に座っているか」を監視するようなケースも散見されました。

作業の多くは、実は会社で行わなくてもいい

しかし、オンラインでの業務が普通になってくれば、その業務を行う場所は必ずしも会社である必要はなくなってきます。

もちろん、リアルに人と人が対面することで生まれる価値は軽視できません。画面越しで初対面の人と話しても、なかなか話は盛り上がりませんし、営業だってしにくいでしょう。日々の雑談から生まれるアイデアもありますし、会議やミーティングでも、リアル対面でこそ生まれる相手への共感や相互理解もあるはずです。逆にリアルで話しているからこそ、わずかな違和感をキャッチできたというケースもあるでしょう。

ただ、“作業”の多くは、実は会社で行わなくてもいいことも多いはずです。作業だけなら、自宅やシェアオフィス、カフェでもいいし、「むしろそちらのほうが集中できる」「自分なりの仕事環境を整えられる」という声も生まれます。