1000人にいつでも意見を聞けるネットワーク

さらには、「いつでも」Z世代の世界にアクセスできる状況を用意しておくことも理想です。私たちSHIBUYA109 lab.では、LINEで約1000人のaround20と直接に繋がっているネットワークを構築しており、調査協力やイベント企画、商品開発などに参加してもらっています。

1000人は消費者パネル調査の対象としては決して多い人数ではありませんが、私たちは直接、彼らと連絡ができる環境を作り、数よりも質を重視して、ネットワークを日々運用しています。

「直接に」「いつでも」繋がることのメリットはまだまだあります。私は、一番大事なことは、信頼し合う関係構築ができることだと考えています。私たちは、彼らとメッセージのやり取りだけでなく、面談などでどんなことに興味があるのかなどを聴取し、一人ひとりの「人となり」を把握・記録しています。

これにより、「K-POPヲタの実態について聞きたいときは、Aさん」「男性美容について聞きたいときは、B君」といったように、具体的なテーマについて聴取したいときに、条件に当てはまる対象者をスムーズにリクルーティングすることも可能になっています。

若者にインタビューをする男性
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

Z世代の感覚をインストールする

また、声をかけるタイミングも自社内の検討・調整のみで完結するため、外部の企業に無理なスケジュール進行でお願いすることもありません。ちなみに、商業施設の運営を行っている私たちは、SHIBUYA109館内で声をかけたaround20を中心にネットワークを構築しています。

リアル店舗を持っている企業であれば、店舗内での声かけも有効でしょう。しかし、このような環境があることは稀だと思いますので、まずは自社のSNSアカウントや会員組織からターゲットを抽出して座談会を開いたり、インターン生にお願いして友達を呼んできてもらうなどの施策を始めてみると、新時代のマーケティングへの一歩が踏み出せるかもしれません。

何度も言いますが、大事なことは、まずは直接、会ってみることです。同じ目線で、彼らの感覚をインストールし、彼らの世界に参加していく。彼らと向き合う際には、彼らと同じ目線を自分の中にインストールするように意識することをお勧めします。