毎月200人のaround20に会う

ここからはZ世代ではなく、SHIBUYA109のターゲットである「around20」(15歳~24歳の若者)という表記が多くなりますが、基本的にはほぼ同じ意味です。

まず、私たちSHIBUYA109 lab.というマーケティングチームが、社内ではどのように位置づけられているかという話をお伝えします。マーケティングという言葉は、広告や販促・プロモーションから、商品企画・市場調査まで非常に定義の幅が広く、企業によってマーケティング部門の役割も異なってきます。SHIBUYA109のマーケティングチームである私たちSHIBUYA109 lab.は、メインの役割を「ターゲットであるaround20(15歳~24歳)への理解を深め、徹底的に可視化すること」と定義しています。この「around20のリアルな視点」を正確に把握し、齟齬そごなく共有することが私の仕事になるのですが、その実現方法として行っているのが「毎月200人のaround20に会うこと」です。それだけの人数になると決して楽な作業ではありませんが、定量的なデータだけでは熱量やニュアンスが把握できないため、正確な理解に繋げることが難しいと気づいたことが、この生の声を集める200人インタビューを実践し続ける背景です。

街中で楽しむ3人の若者たち
写真=iStock.com/pixelfit
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200人という「量」を確保する理由

毎月200人という量を確保することにこだわっているのにはいくつかの理由があります。

一つの大きな理由は、普通のビジネスパーソンにとっては、10代後半から20代前半の年齢層の人たちと日常的な接点を持つのは容易なことではありません。さらに、生まれ育った時代背景が異なることで、価値観も異なりますし、少数の若者たちの話を聞いただけでは、自分の同世代や、さらに上の世代と比較して、その行動の理由を想像したり、予測することが難しいこともあるためです。

もう一つは、around20のトレンドのサイクルが非常に速いことです。彼らの注目しているトレンドテーマも細分化しているため、高頻度かつ量的なヒアリングが必須でした。

もちろん、企業の方針や事業に合わせて、会う頻度や量は調整する必要がありますが、最も大事なことは、企業としてZ世代との接点を持つことができる環境を構築することだと考えています。