Z世代特有の価値観を理解するには、どうすればいいのか。SHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏は「『Z世代の傾向』とされることの全てが当てはまるZ世代はむしろ稀です。完全に一括りにするには無理があります。大切なのは、変に決めつけず、一人ひとりに向き合い続けること」という――。

※本稿は、長田麻衣『SHIBUYA109式 Z世代マーケティング』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

カフェでミーティングをする3人のビジネスパーソン
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Z世代を一括りにしてはいけない

10代後半から20代前半の若者たちを「Z世代」として、一括りにして論じられることが多いですが、実際は多くの側面で細分化・多様化しているため、もちろん、完全に一括りにするには無理があります。「Z世代の傾向」とされることの全てが当てはまるZ世代はむしろ稀です。

どの傾向にも濃淡があり、人それぞれ微妙に異なることは、肝に銘じる必要があります。「Z世代だから社会課題に関心が高いだろう」など、「Z世代だから」と決めつけるのは要注意です。妙に過度な期待をすることはもってのほか。彼らにとってもプレッシャーになりますし、提案したビジネスや開発した商品から、心が離れていく原因にもなります。

大切なのは、変に決めつけず、一人ひとりに向き合い続けること。そして、年齢や性別などの固定観念に囚われず、個を見つめる姿勢です。

データの時代こそ「生の声」に向き合うべき理由

私は、細分化・多様化し、「マス」が生まれない今だからこそ、個人の生の声に徹底的に向き合い、熱量の高さや何気ない行動を観察していくことが重要になっていると感じています。また表面的には多様に見えても、その根底にある思いや考え、行動を起こす源泉には共通点が隠れています。

それを見つけることが、彼らとの良い関係性を構築するためのヒントに繋がります。ビッグデータや定量調査で分かったことが気になってしまっていては、Z世代の心は掴めません。常にリアルは現場にあるのです!

では、どのように彼らに向き合っていくべきなのか。ここからは、実際にSHIBUYA109が行ってきた施策の事例も踏まえながら、若者たちへメッセージを発するときの姿勢や、彼ら向きの企画を立案する際に重要になってくる視点を解説していきます。