媚び・忖度・持ち上げるのも逆効果

一番重要なのは、around20と会話するときの姿勢です。「未来を担う新世代だ!」と持ち上げてみたり、自分より若い世代だからといって子供扱いすることは絶対に避けるべきです。へりくだってすり寄っていくのでも、高圧的に接するのでもなく、フラットな目線で対面するべきでしょう。

彼らは調和を重んじ、相手に合わせて距離感を調節することが上手です。大人にも分かりやすいように話そうとする一方で、大人側の態度に合わせて本音を話すことを避けたりします。場合によっては、ここまで話してもきっと分かってくれないよな、と判断して、リアルな部分を見せてくれなくなってしまうこともあります。

ですから、無駄なプライドを捨て、彼らの世界をリスペクトしながら、企業の方からZ世代の世界に参加していく姿勢を見せることが重要となります。

同じ目線になるためのちょっとした工夫

彼らと同じ目線になるには、聴取する内容や方法についても工夫が必要です。通常、企業のマーケティングにおいて、インタビューや調査をする際、自社製品やサービスに関する内容を聴取します。しかし、その商品やサービスについて、消費者が日常的に意識していることはほとんどありません(概して、これはZ世代だけではありませんが)。特にその商品やサービスの優先度が低い方にカテゴライズされていた場合は、いくら聴取しても、価格の安さなどの言及に留まってしまい、あまり参考になる意見は聞き出せません。

私たちSHIBUYA109は商業施設の運営がメインの事業となりますが、年間の調査の中で商業施設の使い方についてインタビューすることはほとんどありません。むしろ、ヲタ活やファッション、美容や学校生活など、彼らの関心が高いことやお金や時間を使っていること、あるいは生活に直接に関わっていることを中心に聴取しています。