ホストとスカウトが結託しホス狂いを集める

Aにホス狂いが集まる理由はアクセスの良さだけではない。ホストクラブを経営している田口が言っていた「スカウトとホストの結託」が関係している。アユが話す。

「店にいるエースたちと話してたら、ホストと強いパイプで繋がっているスカウトグループがあることに気がついたんです」

そのスカウトグループはホストたちからホス狂いたちの情報をもらい、スカウトは彼女たちを意図的にAに入店させる。放っておいても鬼出勤するホス狂いたちを一カ所に集めることでA内での競争が激化し、女の子の単価は下がる。しかし客も集まれば薄利多売でも稼げるため、ホス狂いが店を辞めることはない。そして噂が噂を呼び、アユの友人のようにホス狂いが勝手に集まってくる。

スカウトグループは金が集まる“集金装置”を、Aを舞台にホストとホス狂いを使って作り上げたのだ。

Twitterを使ったスカウト手法が確立された

スカウトたちは、どうやって女性を集めているのか。

暴力団関係者から暴行を受けていたことで話題になった「ナチュラル」は、歌舞伎町のスカウトグループのなかでも最大手である。SNSが社会に浸透するとともに、スカウトたちは路上でのスカウトからネットスカウトへ移行を図ったが、このネットスカウトの手法を確立したのがナチュラルであると、ナチュラルのスカウトを彼氏に持つキャバ嬢兼風俗嬢のアユが教えてくれた。

客引き同士の小競り合い
筆者撮影
客引き同士の小競り合い。「スカウト狩り」事件では、ナチュラルの男たちはボコボコにされてしまった

「キャバ嬢は顔出して表に出られるじゃないですか。インフルエンサーみたいになっている子もいますよね。そうなると口コミでその子のスカウトの名前も売れるんですけど、風俗の子は表に出れないですよね。だから、ナチュラルはTwitterを使って女の子を集め出したんです」

ネットスカウトと言っても、スカウトを名乗るアカウントが女性のアカウントに直接絡んでいくといった単純なものではない。Twitterには顔出しをしていない風俗嬢を名乗るアカウントが無数にある。「りりたん」とか「みおたん」など、個人を特定されないようなネーミングがほとんどだ。

ホストとの恋バナや客の愚痴など風俗嬢の日常をつづっており、フォロワーが6万人近いアカウントもある。そのようなアカウントのなかにはスカウトが担当している風俗嬢にバイトとして運営させているものがかなりの数交ざっている。