両脚の大腿骨を骨折し痣だらけの3歳の女の子

埼玉県春日部市で、意識不明の状態で緊急搬送された後に死亡した3歳の女の子は、両脚の大腿骨を骨折していただけでなく、全身に複数のあざが残っていた。司法解剖の結果、死因は脳損傷と判明した。母親は夫と別居中だったが、その間にできた“新しい恋人”による虐待が原因だった。女の子は、大腿骨を骨折してから亡くなるまで、少なくとも2週間は治療もされずに放置されていたこともわかっている。

元競輪選手だったという新しい恋人は、両脚を骨折している3歳児に平手打ちをしたり、髪をつかんで引っ張ったり、突き飛ばすなどの虐待を繰り返した。そのとき、頭を強く打ったのが直接の死因と見られている。母親は、娘が両脚を骨折していたとは知らなかったと言い、新しい恋人は、逮捕後、留置場で自殺した。

「躾のつもりだった」という供述

3年前、当時3歳の長女に熱湯を浴びせ、大やけどを負わせた母親が再逮捕されたのは、年が明けてすぐのことだ。昨年9月、この母親には、保護責任者遺棄の容疑で懲役2年(執行猶予4年)の判決がくだされているが、新たに傷害罪を適用しての再逮捕だった。

公判では、火傷の原因を長女が水が出る蛇口をふさいでしまったための事故と母親は証言して執行猶予を得ていたが、火傷の状態が真皮に達する“二度”が全身の8.5%を占め、皮下組織まで達する“三度”の火傷が14%に及んだことから、神奈川県警は事故ではなく故意――、虐待によるものと判断し、傷害罪での逮捕に踏み切った。

ブラインドに手をかけ、外を見ようとしている女の子
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この母親は、火傷を負った娘の背中を食品用のラップを巻いただけで3日間放置し、警察が踏み込んだときも同居中の男性とパチスロに興じていた。なおざりな応急処置しかしてもらえなかった娘は、保護されたとき背中の皮膚が破れ、ブドウ球菌敗血症を発症していた。救出があと少し遅れていたら、確実に死んでいただろうという。

取り調べの席での親たちは、まるで判で押したかのように“しつけのつもりだった”“泣きやまなかったから”と言い訳じみた供述をする。3歳や5歳と言ったら、殴打され、髪を引っ張られ、振りまわされても大人に刃向かえる力はない。子どもたちには親の存在が世界の全てであり、唯一の逃げ場なのに、わが子を手にかけるような愚かな親たちには、そんなことすらもわからないらしい。

自分は食事に手をつけようともせず、全てを子どもたちに分け与えていたユキヒョウ、わが子の怪我に気づき、抱きかかえてクリニックを訪れた母猿と母猫……、この愚かな親たちがやったことは、動物たちと正反対のことばかりではないか。