ひそかに広がる「現代的栄養失調」
加齢で脂肪が増える原因はこれだけではなく、もう1つあります。実はそちらのほうが深刻で重大です。「現代的栄養失調」です。
そう聞くと、「食べ物があふれている日本で栄養失調なんてあるわけないよ」と思う方も多いことでしょう。
私が「栄養失調」と指摘する理由は、摂取している栄養の内訳に問題があるからです。とくに、現代人の一般的な食事の質が、肥満だけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の引き金になっています。
肥満の原因となっている要因は、主に次の2つです。
【要因2】タンパク質が足りない→筋肉の材料不足で脂肪の燃焼が起こらない
具体的には、食習慣が次のチェックリストに当てはまる人は要注意です。
□3食しっかり主食をとっている
□丼もの、麺類などの1品料理をよく食べる
□食後には甘いものを食べる習慣がある
□コーヒーや紅茶には砂糖を入れるのが習慣
□清涼飲料水や果汁100%のジュースを飲む習慣がある
□疲れたときには栄養ドリンクを飲む
□肉は太るからなるべく避けている
□野菜中心の食事を常に心がけている
□テイクアウトの総菜やお弁当を食べることが多い
□体重が増えたときは、まずは食べる量を減らす
「普通の食事」が危ない
チェックリストを見て、「これって普通のことじゃないの?」と思ったかもしれません。
それはその通りです。よくある一般的な「普通の食事」で、現代的栄養失調になってしまうのです。そして、先に示したデータの通り、中年以降に肥満者がどんどん増えているのが、現代の日本です。
脂肪をどんどん増やす反応ばかり起こして、燃やす反応が起こらない食事を20代、30代からずっと続けていると、若いうちはなんとか持ち前の筋肉でエネルギーを燃焼できますが、そのツケが40代で一気に噴き出てきます。加齢で筋肉が衰えたところで、一気に肥満が加速してしまうのです。
こうした「糖質過剰で低タンパクな食事」は、内臓や血管も傷めつけます。そのために、肥満の加速とともに、血糖値や血圧などの健診結果の数値にも赤信号が灯りはじめるのです。