「やせ型」にも健康リスクはある
一方、ごはんやパン、甘いものをたくさん食べているのに、太ることもなく、やせている、という人がときどきいます。
なんともうらやましく思えますが、私はこのタイプの方が急激に健康を損なうケースをたくさん診てきました。とくに、若くしてがんを発症するケースでは、やせているタイプの患者さんがほとんどでした。
実際に、国立がん研究センターの調査によると、BMIが19未満のやせ型の男性は、そうでないグループと比較して、がんの発生率が約30%も高くなるといいます。そして、全体の死亡リスク自体も、肥満の人よりもやせている人のほうが圧倒的に高いという結果が出ているのです。
血管や心臓がボロボロに
やせていると血液を運ぶポンプ役である筋肉が少なくなるため、心臓や血管の疾患のリスクが高まることも知られています。
また、順天堂大学の研究では、BMI18.5未満のやせ型の女性の場合、食後に高血糖となる「耐糖能異常」の割合が、そうでない人と比較して約7倍高いことがわかりました。これは、糖尿病発症のリスクが高くなるともいえます。
私は、「糖質をたくさんとっているのにやせているケース」についても、現代的栄養失調が原因と考えています。栄養が足りないために、糖質をエネルギーに変える代謝が働かず、体内が極端な酸性に傾いてしまうからです。
体内が酸性に傾くことで、全身の細胞が傷めつけられ、血管も内臓もボロボロになり、心血管系の疾患やがん発生のリスクは跳ね上がります。
20代や30代の若い体であればなんとか耐えられますが、40代になってダメージが蓄積してくると、たちまち病気となって現れるようになります。やせていても、太っていても、糖質の過剰摂取は非常に健康リスクが高いのです。