効果をうたうダイエット法は無数にある。しかし現実には、どれを試してもやせられない、というケースが大半だ。“ダイエット難民”はいったいどうすればいいのか。内科医の水野雅登さんは「実は、太っている人に必ずといっていいほど足りない栄養素があるのです。このことはあまり知られていません」という──。(第2回/全3回)

※本稿は、水野雅登『医師が教える 40代からの神ダイエット』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

「カロリー制限神話」は捨ててOK

「カロリーは前時代の非科学的なものであり、まったくあてにならない」というのが、私の考えです。あまり知られていないのですが、2020年には、ハーバード大学医学部も「科学的根拠が皆無なカロリー制限はやめるべき」と指摘しています。

その理由は、食べ物のカロリーの数値が「その食べ物を燃やしたときに水をどれぐらい温めるか?」で決められているからです。

一瞬、「……え?」となりますよね。それも無理はありません。私たちの体の中で、食べ物に火がつくことはないのですから。

有機野菜料理
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科学的な根拠に基づいたダイエットの指標は「PFC量」

食べたものは胃や腸に運ばれ、「酵素」によって消化や代謝が行われ、エネルギーや栄養として体に取り込まれています。つまり、カロリーは人間の消化・代謝をまったく反映していない、“謎の数値”ということです。

カロリーが低くても体脂肪が増える食べ物はあるし、逆に、カロリーが高くても体脂肪が増えない食べ物もあります。

カロリーは、その食べ物が体内に入るとき、また、入ってから起こす代謝や反応については完全に無視しているので、ダイエットするうえであてにならないのです。

カロリーを目安にダイエットをがんばってきた人たちは「そんな……」と絶望的な気持ちになるかもしれません。しかし、大丈夫です。科学的な根拠に基づいた、ダイエットの指標があるので、安心してください。

それは、食べ物に含まれる3大栄養素の目安である、「PFC量」です。

Pは「Protein(タンパク質)」、Fは「Fat(脂質)」、Cは「Carbohydrate(炭水化物)」のこと。そして、これまでのカロリーに該当する言葉は、「エネルギー」と言い換えるのが適正であると考えてください。