逆に、肥満がある患者さんに食事内容の聞き取りをすると、いったい何を食べ過ぎているのか。ほぼ同じ答えが返ってきます。ごはん、麺、パン、お菓子類……つまり、糖質です。

朝はパン、昼に丼もの、夜はカレーライス、さらに食後にはアイスやケーキなどのスイーツを必ず……といったように、1日に食べたもののうち8~9割を糖質が占める「超高糖質食」であることも珍しくありません。

それに対して、タンパク質はほんの付け合わせ程度にしか摂取していません。

太った若い女性
写真=iStock.com/ozgurdonmaz
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タンパク質不足で太るメカニズム

人間の体にとって、本当に必要な栄養素の比率でいえば、この場合の糖質とタンパク質の摂取量は逆転させるのが適正です。

そもそも、私たちの体から水分をごっそり除くと、残りはほぼタンパク質です。体は7割が水分、2割がタンパク質でできていて、筋肉も骨も内臓もすべてタンパク質を主成分として構成されています。

そのタンパク質が不足すると、当然ながら体の材料が極端に不足して、十分に機能しなくなります。代謝も極度に低下して脂肪燃焼がストップし、太ります。次のような項目が当てはまる人は、ぜひタンパク質不足を疑ってください。

■タンパク質不足チェックリスト
□ 食べる量が変わっていないのに年々体重が増えている
□ 傷の治りが遅い
□ 胃腸が弱い
□ 爪に凸凹がある
□ 肌、髪がパサパサしている
□ 疲れやすく、すぐ風邪を引く
□ やる気が出ない、うつっぽい、集中が続かない

「血糖値を上げない」ことが脂肪をつけないコツ

体に脂肪がつくときには、ある条件が必要です。それは、「血糖値を高くすること」。体の仕組みから、血糖値が高くならない限り、脂肪はつきません

脂肪の発生は、次のような体のメカニズムからきています。

図表2の通り、「体に脂肪を蓄えろ!」という命令を出すのは、肥満ホルモンとも呼ばれる「インスリン」です。インスリンは、血糖値が上がると、それを下げるためにすい臓から分泌されます。

つまり、血糖値を直接的に上げる反応を起こすのは、糖質だけ。だから、体を肥満させる主犯は、糖質ということです。