中小企業の約7割は「賃上げの予定なし」
もちろん、物価上昇以上に賃金が上昇すれば問題ない。
実際、春闘を前に、メディアでは賃上げのニュースがいくつも報じられている。
ユニクロを運営するファーストリテイリングは、今年3月から国内の従業員の年収を平均15%増やす。
同社のプレスリリースによれば、新卒の年収は約18%アップ、入社1~2年目で就任する新人店長は年収で約36%アップするという。
また、任天堂は4月から全社員の基本給を10%引き上げる方針だ。正社員だけでなく、嘱託社員やアルバイトも同様に増額するというから太っ腹である。
こうしてみると、今年の春闘は期待できそうに思える。
しかしながら、現実はそうそう甘くはないだろう。
前述の2社は上場企業、しかも売り上げの半分以上を日本国外で稼ぐグローバル企業だ。
同じレベルの賃上げを中小零細企業に期待するのは無理があるだろう。
事実、城南信用金庫が東京・神奈川の中小企業738社に今後の賃上げについて尋ねたところ、約7割が「賃上げの予定なし」と回答したという。
日本の労働者の約7割は中小企業に雇用されている。
つまり、ほとんどの労働者は物価上昇率を上回る賃上げを期待できないということだ。