賃金が追いつかないほど物価が上がり続けている

2022年を振り返ると、わが国の物価は久しぶりに上昇した。異常気象、ウクライナ危機などで、世界的に資源、食料品などの価格が上昇したことが大きく影響した。それに加えて、外国為替市場で円安が進んだことも物価の上昇を加速した。日米の金利差急拡大の観測によって、10月には一時151円95銭まで円安が急速に進んだ。資源などの価格上昇と円安の掛け算によって、国内の物価は上昇した。

問題は、わが国の物価にはまだ上がりそうなことだ。電気料金や食料品など、多くの分野で値上げ予定が目白押しだ。その分、賃金が上がってくれればよいのだが、平均すると、賃金上昇は物価上昇に追いついていない。ということは、実質ベースでみた賃金は減少している。今後もインフレ傾向が続くとすると、金利は上昇するだろう。

記者会見で、厳しい表情を見せる東京電力ホールディングスの小早川智明社長=2023年1月23日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
記者会見で、厳しい表情を見せる東京電力ホールディングスの小早川智明社長=2023年1月23日、東京都千代田区

金利の上昇は、預金者にとってプラスだが、住宅ローンの金利が上がると、その分金利支払い負担は増えることになる。相対的に所得の少ない層への影響は大きくなるはずだ。経済格差が拡大するかもしれない。多くの人の生活はさらに苦しくなることが懸念される。

企業の自助努力で価格を抑えてきたが…

わが国の物価は趨勢的に上昇している。2022年12月、川上の企業物価指数は前年同月比で10.2%上昇した。2022年平均でみた企業物価上昇率は9.7%と1981年以降で最高だった。主要な品目別にみると、電力・都市ガス・水道、天然ガスなどの鉱産物の価格上昇は大きかった。また、円ベースでみた輸入物価は年平均で39.1%上昇した。

一方、同月、川下の消費者物価指数は総合指数、および生鮮食品を除く総合指数ともに前年同月比4.0%上昇した。生鮮食品を除く総合指数は41年ぶりの上昇率だった。品目別に物価上昇の大きかったものを確認すると、食料、水道、光熱費などの上昇は大きい。わが国の企業は自助努力によってコストを吸収してきたが、それは難しくなっている。そのため価格転嫁が進められ、消費者物価の上昇が勢いづいている。小売り分野などでは値上げが実施された。