日本の物価上昇は、経済にどんな影響を与えるのか。経済アナリストの森永康平さんは「物価が上がっても賃金が上がらなければ、家計は節約に走る。その分、企業の売り上げが落ちるので賃金はさらに下がる。このままでは、インフレではなくデフレに逆戻りしてしまう」という――。
ビジネスマンはPCの前で頭を抱える
写真=iStock.com/Photobuay
日本人の給料は今後も下がり続ける(※写真はイメージです)

コンビニでランチを買うと1000円オーバーに

先日、仕事の合間にランチを買いにコンビニへ立ち寄った。お腹が空いていたので、弁当と飲み物を持ってレジへ行き、レジ横にあるホットスナックも1つ買おうとした。

すると、弁当と飲み物だけで800円を超えており、ホットスナックを買うと1000円オーバーになることに気づいた。

コンビニでランチを買って1000円オーバーは高すぎると思い、ホットスナックは買わなかったが、日本でも着実に物価が上昇していることを実感した。

体感の物価上昇は+4.4%どころではない

1月27日に総務省が発表した1月の東京都区部消費者物価指数の速報値は前年同月比+4.4%と、1981年6月以来の大きな伸びとなった。

同指標は全国版の消費者物価指数の先行指標である。全国版の1月の消費者物価指数の発表は2月24日だが、そのタイミングで国内の物価上昇に改めて注目が集まるだろう。

この「前年同月比+4.4%」という数字を見て、「体感の物価上昇はもっと厳しい」と感じた方もいるのではないだろうか。

筆者は小さな子どもが3人いる共働き世帯である。そのため筆者自身も料理のために頻繫にスーパーに行くが、やはり実際のインフレはもっと激しいと感じる。

ちなみに2022年12月の全国版の消費者物価指数では、生活必需品を意味する「基礎的支出項目」の物価上昇率が同+6.1%、「毎月1回程度購入するもの」の物価上昇率が同+11.0%と、家計に影響する品目の物価上昇率が大きくなっている。