ビジネスメールの「正しい敬語」とはどんなものか。ライターの藤吉豊さんは「間違った敬語を使っていると、相手を不快にしてしまう恐れがある。尊敬語と謙譲語の使い分けや二重敬語については、間違っている人も多いので注意してほしい」という――。(第1回)

※本稿は、藤吉豊、小川真理子『社会人になったらすぐに読む文章術の本』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

スマートフォンで電子メールを読む人
写真=iStock.com/anyaberkut
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「おっしゃられる」は間違った敬語

本稿では、読み手を不快にさせる「NGメール」をビジネスシーンにふさわしい「OKメール」に書き換える方法を解説します。現役ビジネスパーソン223名(20~60代)に「メールに関するアンケート」を実施しました。アンケート回答者が実際に受け取った「不快に思ったメール」(固有名詞などは一部改変)を「NGメール」として紹介しています。

「新入社員(または若手社員)から受け取った際に、『思わず注意したくなった』『日本語としてどうなの?』と思ったメール」の回答をもとに、若手社員がやりがちなNG表現をまとめました。

学生時代なら問題がなくても、ビジネスシーンでは、いろいろな世代、立場、状況でやりとりをするもの。「不快にさせるメール」を知り、感じのいいメールを書けるようにしましょう。

×NGメール
資料をご覧になられましたでしょうか?

○OKメール
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■ダメな理由

・尊敬語は目上の人を敬う表現で、「相手を立てたいとき(相手を自分よりも上にする)」に使います。一方、謙譲語は自分がへりくだる表現で、「自分の立場を下げて相手を立てる」ときに使います。
・「ご覧になられる」は、「見る」の尊敬語「ご覧になる」に、尊敬の意を表す助動詞「れる」が重なった二重敬語です。二重敬語とは、「ひとつの語について敬語を2つ以上組み合わせた敬語」のことで、誤りとされています。

二重敬語の例
×「お(ご)+○○られる」
×お読みになられる→○お読みになる 
×おっしゃられる→○おっしゃる
×お見えになられる→○お見えになる
×お会いになられる→○お会いになる
×「謙譲語+いただきます」
×拝見させていただきます→○拝見します
×うかがわせていただきます→○うかがいます
×お目にかからせていただきます→○お目にかかります

「お召し上がりになる(召し上がる+お~になる)」「おうかがいする(うかがう+お~する)」のように、広く定着している二重敬語もあります。「話し言葉」として使用するのであればさほど違和感を与えませんが、ビジネス文書(書き言葉)においては、避けたほうが無難です。