バイト敬語は注意する気も失せるレベル
×NGメール
おつかれさまです。ご依頼になられました書類をファイルにしてお送りさせていただきました。
○OKメール
おつかれさまです。ご依頼の書類を添付して送信します。
■ダメな理由
「ご依頼になられました」「お送りさせていただきました」は二重敬語です。
×NGメール
さきほど送りました添付ファイルは、あれでよろしかったでしょうか。
○OKメール
さきほど添付ファイルを送信いたしました。○○○○でよろしいでしょうか。ご確認ください。不備がございましたら、ぜひご指導くださいますよう、お願いいたします。
■ダメな理由
このメールの受信者は、次のように不快感を口にしています。「『あれ』『よろしかった』は、目上に対する言葉として不適切ですし、それ以前に語彙力のなさに驚きます。注意する気も失せるレベルです」。「よろしかったでしょうか」は、いわゆる「バイト敬語」です。間違った敬語とは言い切れませんが、違和感を覚える人もいます。「相手にこれから確認をするとき」に過去形を使うのは不自然です。
「あれで」が何を指しているのか、不明瞭です。「これ、それ、あれ、どれ」といった指示語は、短い言葉で対象を示す便利な言葉です。しかし、「何を指しているのかがあいまいになり、正確に伝わらない」ことも考えられます。指示語を具体的な言葉に置き換えたほうが、誤解なく伝わります。
「○○のほう」「になります」は不自然な敬語
「バイト敬語」は、敬語を使い慣れていない学生が使う「なんとなく丁寧に聞こえるけれど、違和感のある敬語表現」です。
×「こちらが提案書になります」
○「こちらが提案書です」「こちらが提案書でございます」
→「~になる」は、変化を表す言葉です。「何かが提案書に変化する」わけではないので、不要です。
×「こちらの提案書でよろしかったでしょうか」
○「こちらの提案書でよろしいでしょうか」
→「よろしかった」は、過去の出来事などを確認する際に用います。「これから」確認をお願いするので、不自然です。
×「提案書のほうを作成いたしました」
○「提案書を作成いたしました」
→「○○のほう」は、主に方向を示すときに使う言葉です。
×「1万円からお預かりいたします」
○「1万円、お預かりいたします」
→「から」は『○○から××まで』といったように、範囲の起点を示すときに使います。
×「○○は本日ご出張に行かせていただいております」
○「○○は本日出張のため、終日不在でございます」
→出張は取引先やお客様から許可をいただくものではありません(「いただく」は「もらう」の謙譲語)。また、社内の人の出張に「ご」をつけるのは間違いです。
「よろしかったでしょうか」などの「バイト敬語」は間違った敬語とは言い切れませんが、違和感を覚える人もいます。取引先や上司に対して使うと悪い印象を持たれてしまうこともあるので、しっかりと理解して正しい敬語を使うよう心がけましょう。