ネット上の「炎上」にはどう対応すべきか。ブラック企業アナリストの新田龍さんは「どんなに不本意な炎上でもまずは謝罪から入るのが原則。ただし、『遺憾である』などの間違った謝罪をすると、炎上に油を注ぐことになるので注意が必要だ」という――。

※本稿は、新田龍『炎上回避マニュアル』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

燃えるスマートフォン
写真=iStock.com/loveshiba
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「場当たり的な対応」は炎上を加速させる

炎上と聞いて即座に狼狽する必要はない。まずは「今、発生しているのはそもそも炎上なのか?」「自分たちに非はあるのか?」といったところから、冷静かつ正確に把握することが重要だ。事実確認をおろそかにしたまま、批判に怯えて場当たり的な対応をすることがもっとも炎上を加速させる危険な行為であることを認識しておきたい。

ネット上で多くの人があなたの会社や商材について話題にしていて、その中に思いがけなく批判的意見が多かったとしても、それが即「炎上」であるとは言い切れない。世の中のどんなに支持されているブランドにもアンチは存在し、批判の声自体は必ずあるものだからだ。まずはその批判的な意見が、自分たちにとって有害かどうか見極めるところから始まる。

SNSなどのソーシャルメディアに限らず、そもそもインターネット上においては、似たような属性(所属や趣味、政治信条など)や共通点を持った者同士が相互に繋がって集団を形成している。これは「クラスタ」と呼ばれるが、たとえばTwitterのあるクラスタ内で話題になっている事象であっても、別のクラスタに属する人はその話題をまったく知らない、などということはごく一般的だ。

「万バズ」が届いている人は全体のごくわずか

Twitterのひとつの投稿が、1万件以上リツイート(共有)もしくは「いいね」されることを「万バズ」といい、当該情報が大いに注目を浴びている状態の証左となるが、Twitterのユーザー数は日本全国に4500万人もいるのだ。万バズしたところで、その情報が届き、何らかの反応をしている人は全体のわずか0.02%に過ぎない。

SNS上で盛り上がっているように見えても、それはあくまで「クラスタ内」だけの話であることがほとんどで、その話題を全然知らない人の方が大多数であることをまず押さえておきたい。ご参考までに、我が国における主要なSNSの、日本国内アクティブユーザー数はおおよそ次のとおりである。

●Twitter 4500万人
●Instagram 3300万人
●Facebook 2600万人
●TikTok 1700万人
(いずれも2022年11月時点)

したがって、一見批判意見が多いように見えても、それがまったく筋違いの、妥当ではないものであったり、直接的な顧客層とは無関係のクラスタ内で留まっていたりする限りは、特段深刻な問題ではないと考えてよい。