したがって、批判意見を問題視すべきなのは、批判している主体が「自社にとって主たる顧客層」である場合と、明らかに自社に非がある批判意見が、特定のクラスタに留まらず、不特定多数の目に触れてしまっている場合だ。これらはすなわち「ネガティブな口コミ」となり、自社商材の選定や購買判断にあたり、マイナスの影響をもたらしてしまうだろう。確認すべきは次のような点である。

現状確認
●どのような批判意見が拡散しているのか
●何が批判の原因か
●批判されている内容は事実か
●誤解や筋違いの妥当性がない意見だとすれば、事実は何か
●批判意見が特定クラスタに留まらず、不特定多数の目に触れているか
●原因が自社発信の情報にあった場合、それはいつ、誰が、どこで(どの媒体で)、どんな言動/行動をしたのか
●批判対象となっている自社発信情報の内容は事実か
●そもそも、発信者はなぜそのような言動/行動をしたのか
●発信者本人は、当該時点でどのような対応をとっているのか
●情報拡散によって、個人や会社への批判、誹謗中傷、電凸(電話突撃)など、実被害が発生していないか
●発信情報や発信者の言動/行動に、法令や内規、社会的規範から逸脱したところはないか

「クラスタ」を超えて批判が殺到したらそれは「炎上」

まずはこのように、批判意見に対して事実確認を早期におこなうことが重要だ。できれば少数精鋭の調査チームを組成し、権限を与えて迅速に確認を進められるとよいだろう。事実を正確に確認せぬまま、批判拡大を恐れて場当たり的な判断を下すことは非常に危険である。合わせて、ネット上での論調を把握し、理解することも必要だ。ユーザーが何に対して批判しているのか理解できなければ、その後の対応も適切におこなうことができない。それどころか、逆に「本質が分かっていない」とさらなる批判に繋がる可能性もあるだろう。

最初に話題となったSNSのクラスタを超えて批判意見が拡散し、不特定多数の目にとまり、多くのネットユーザーから批判的な意見が集中的に寄せられ、自社がターゲットとする顧客層からの批判にまで至ってしまったら、残念ながらそれは「炎上」だ。これら事実確認と論調の把握ができ、判断材料が揃った段階で、今後の対応方針を策定し、対応内容を早急に検討することになる。