中国では新車販売台数の5台に1台がEVに置き換わっているという。EV専門ジャーリストの高橋優氏は「補助金や税制優遇もEV普及の理由の一つですが、魅力的なEVが続々と発売されていることも大きな理由になっています」という――。

※本稿は、高橋優『EVショック ガラパゴス化する自動車王国ニッポン』(小学館新書)の一部を再編集したものです。

BYDの販売店
写真=iStock.com/Robert Way
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世界でEVを売りまくっている中国

中国こそ世界で最もEVを売りまくっている、いわばEV先進国です。

EV-Volumesによると、2022年9月度までの世界全体でのEVとPHEVを合計した販売台数は、おおよそ681万台。一方、中国市場のみで販売したEVとPHEVの販売台数の合計は、およそ405万台。つまり中国国内で売れたEVとPHEVの販売台数だけで、世界全体の実に6割近いシェアを占めているのです。このことからも、EVシフトの真の震源地は中国市場である、ということがわかります。

それでは、この中国市場におけるEVシフトの現状を、販売台数の最新動向、および人気のEVなどを交えながら詳しく見ていきましょう。

執筆時点で最新の2022年10月度までの新車販売全体に占めるEVのシェア率はというと、実に22%。中国で売られている全ての自動車のうち、5台に1台以上はEVに置き換わっています。

我々日本市場のEVシェア率が1%程度に留まっているという現状と比較していただければ、中国がEVシフトでいかにリードしているのかが一目瞭然です。

中国国内でEV販売が急速に伸びた2つの理由

中国とひと口に言っても、都市部と山間部ではEVシフトのスピードに大きな差があるわけですが、EVシフトのスピードが急上昇している大都市圏の上海に目を向けてみると、2022年度の上半期におけるNEV(中国で一般的に使用される括りで、EV・PHEV・水素燃料電池車〈FCEV〉の合計を示す)シェア率が、脅威の45.1%を記録しています。

つまり、中国上海で売れた全ての自動車のうち、半数近くがEVやPHEVであったとイメージしていただければ、もはや上海ではNEVを購入することが一般的になりつつある、ということがおわかりいただけると思います。

中国全体でEV販売がこれほどまでに急速に伸びている理由は大きくふたつあります。国家主導でEVの普及を大々的に進めているということと、極めて魅力的なEVを開発する新興メーカーが急成長しているということです。