「BYD」は2025年までに日本で100店舗をオープン

現在BYDは、トヨタと中国で合弁会社を立ち上げて、EVに関する共同開発を行っており、トヨタは中国専用EVとしてbZ3(ビーズィースリー)という中型セダンの発売をスタートしています。BYD製のLFP系バッテリーやモーターなどを搭載していることによって、bZ3は電費性能が中国市場で発売されている競合EVのセダンと比較しても非常に優れています。

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BYDは日本市場への参入も表明しており、2023年中にも合計3車種のEVを発売する方針を発表しています。すでにATTO3(アットスリー)は440万円とEVとしては安価で発売されており、DOLPHIN(ドルフィン)というコンパクトサイズのEVは、比較的コンパクトなサイズ感と、EVとしての実用的なスペック、手の届きそうな価格を兼ね備えていることによって、日本でも注目するべき存在となるでしょう。

BYDは2025年までに日本国内に合計して100店舗以上もの販売ディーラーを設置していく方針も表明しています。

中国市場は今や、世界全体のEV販売の6割弱を支配するEVマーケットの中心です。中国政府主導によるEV普及促進のための税制優遇措置の強力な推進と、台頭した中国新興EVメーカーの極めて魅力的なEVの登場という官民一体のEV推進によって、世界一のEV大国になっています。

そして、その急速に力をつけてきている中国EVメーカー勢が、自動車王国である我々日本市場に、まさにこれから進出すべく虎視眈々たんたんと牙を研いでいるところなのです。

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