中国全土に1250カ所以上の大規模なEVインフラを構築

特筆すべきは、独自の急速充電ステーションやバッテリー交換ステーションの設置を開始し、2022年12月時点ですでに中国全土に1250カ所以上という大規模なEVインフラを構築していることです。数分間のバッテリー交換作業だけで満充電状態に復活させるサービスや、発電機搭載の車両を呼び出して、充電ステーションに行かずとも充電できるサービスも提供するなど、内燃機関車と同等の利便性を担保しています。

またNIO House(ニオハウス)呼ばれるオーナー限定のコミュニティの場では、カフェやコワーキングスペース、キッズスペースなどを併設し、NIO専用のアプリ内に独自のSNS機能を設けることによって、NIO HouseとNIOアプリでオンラインでもオフラインでもオーナー同士の交流ができるように配慮しています。既存の高級車メーカーがこれまで提供できなかった新たな価値を提供することで、NIOは中国国内の高級車メーカーとしてトップクラスのEV販売台数を達成しているのです。

バッテリーに強みを持つ「BYD」

もうひとつの注目メーカーがBYD(ビーワイディー)です。こちらはスタートアップではなく、元々は1995年にバッテリーメーカーとして戧業され、2003年には自動車メーカーを買収して自動車事業にも着手。バッテリーメーカーの強みを活かして早期からEVの研究開発に取り組み2022年3月、内燃機関車の生産を終了してNEVに注力する方針を表明しました。

2022年11月までのNEV販売台数は162万台以上で、現在中国を飛び越えて世界最大のNEVメーカーに君臨するほどの急成長を遂げています。

BYDの最大の強みは、自社でバッテリーを内製し、大量生産することができるという点です。詳細は後述いたしますが、BYDの最新のバッテリーセルであるBlade Battery(ブレードバッテリー)を、乗用車だけではなくバスなどの商用車を含めたほとんどの車種に採用することによって量産コストを低減させ、安定的に安価に供給できるLFPと呼ばれる種類のバッテリーを採用し、急成長をしました。