2023年末まで自動車の購入税10%が免除される

1点目の国家主導でのEV普及推進についてですが、中国ではEVを購入する際の補助金や税制優遇措置を強力に推進しています。EV購入補助金は2022年末まで30万元以下(約600万円)の車両に対して、概ね1万元強ほど(約20万円強)支給されますが、それ以上に大きいのが中国国内で自動車を購入する場合の免税措置で、自動車の購入税として10%かかるところ、NEV購入の場合は免除されるのです。この免税措置は、当初2022年で打ち切り予定だったのですが、Covid-19による経済の落ち込みに対する刺激策として、2023年末まで延長することが決まっています。

もっとも中国では、経済刺激策として2022年6月から年末にかけて、通常の内燃機関車を購入する場合でも排気量が2000㏄以下、車両金額が30万元以下という諸条件下で、この購入税を半額にするという優遇措置を実施していました。2022年後半はEVだけが優遇されていたわけではなかったのですが、それにもかかわらず、2022年後半にEVのシェア率がさらに伸びていったということは、免税措置だけではない何か別の理由で中国の人々がEVを選択しているということになります。

高級EVメーカーとして認知された「NIO」

その理由が2点目の、続々と発売される魅力的なEVの存在です。

例えばフォルクスワーゲンの世界戦略車であるEV、ID.4(アイディー.フォー)は中国国内でも月間数千台という一定の販売台数を売り上げているわけですが、そのID.4を優に上回る圧倒的な販売台数を誇る魅力的なEVが中国国内では多数販売されています。そしてそれらの魅力的なEVを販売しているのは既存の自動車メーカーではなく、中国現地で続々と立ち上がった新興EVメーカーなのです。

中国新興EVメーカーとして最初にご紹介したいのが、2014年に立ち上がったNIO(ニオ)です。創業してたったの4年後の2018年には初の大型SUVであるES8を発売し、2022年末時点で6車種ものEVをラインナップ、高級EVメーカーとして認知されています。年間100万台ものEVを生産可能な巨大な車両生産工場を建設して、すでに車両の量産もスタートしています。

ビルの前にはNIOのロゴが見える、NIO House
写真=iStock.com/Andy Feng
※写真はイメージです