海外製のEV(電気自動車)が続々と日本に上陸している。『日本車敗北』(プレジデント社)の著者で元東京大学特任教授の村沢義久さんは「ついに世界最強EVメーカーである中国BYDの『ATTO3』が日本市場に入ってくる。日本のメーカーでは太刀打ちできない恐れがある」という――。

「EVの王者」BYD

2022年12月5日、中国BYDはEV「ATTO3(アットスリー)」を、2023年1月31日より日本で発売すると発表した。価格は440万円。

BYDは2022年7月に3車種のEVを日本市場に投入すると発表していたが、「ATTO3」はその第1号となる。

BYD「ATTO3」
写真提供=BYD
BYD「ATTO3」

BYDは1995年に王伝福氏により中国・深圳市でバッテリーメーカーとして創立された企業だ。正式名称は比亜迪股份有限公司(略称:比亜迪またはBYD)。

実際に電動車を製造・販売しているのはBYDの子会社、比亜迪汽車(BYD Auto)であるが、本稿では、両社を実質的に一体と見て共にBYDという略称で話を進めることとする。

筆者は、2017年にBYD本社を訪問、PHV「唐」に試乗させていただいた。前年中国市場でベストセラー電動車になった車だ。そのスムーズな出足、加速性能、完成度の高さに感激し、「これは日本でも売れる」と確信した。

あれから5年、BYD製EVがついに日本にやってくる。

今回日本市場に投入する「ATTO3」は、ミドルサイズのSUVで、2022年2月に「元プラス」の車名で中国で発売されたもの。EV専用プラットフォーム「e-Platform3.0」にBYD独自開発の「ブレードバッテリー」を搭載、モーターの最高出力は150kW、最大トルクは310Nmである。

日本向けモデルのバッテリー容量は58.56kWh。航続距離はWLTC基準で485kmと発表されているが、筆者はEPA基準換算で大体340km程度と推定している。