コスパ重視なら「ATTO3」に軍配

日本市場で「ATTO3」のライバルとなる主なEVは、同じSUVタイプの日産「アリア」、テスラ「モデルY」、ヒョンデ「IONIQ5」、VW「ID.4」だ。

日産「アリア」
日産「アリア」

これらEVの主要スペックを並べて比較してみると図表3のようになる。

【図表】EV-SUVの比較(「Atto3」は日本向けモデル、その他はベースグレード)

この中からどれを選ぶかは、ユーザーの懐具合と優先順位による。ただ、筆者のように限られた予算の中でコストパフォーマンスを重視するユーザーの場合、一番安い「ATTO3」を基準に、他の車と比較していくことになるだろう。

消去法で最初に除外するのは「ATTO3」より約140万円も高い「モデルY」だ。テスラブランドに対する憧れは強いのだが、残念ながら、性能的にも価格的にも別格と考えて諦める。

次に、約100万円高い「アリア」も除外することになる。

価格とスペックを総合的に評価すると決して悪くないし、国産であることの安心感もあるのだが、「特徴がない割に高いな」という感じが否めない。

従って、チョイスは、「ATTO3」「IONIQ5」「ID.4」の3モデルということになるのだが、よく似たスペックなら結局は価格勝負。となると、他の2車種より約40万〜60万円安い「ATTO3」が第1候補ということになる。

このように検討してみると、「ATTO3」のコストパフォーマンスは非常に魅力的であり、日本でもかなり売れるだろうと考える。

一方、日本人として心配なのが日産だ。「アリア」は「特徴のなさ」が災いしてか、ライバルたちと比較して全く存在感がない。2022年1〜10月の世界の電動車販売ランキングでも、「モデルY」がダントツ1位、「ID.4」が9位、「IONIQ5」も16位に入っているのに対し、「アリア」はランキング外だ(「ATTO3」はまだ発売されてから日が浅いため比較の対象外)。

かつては世界1位だった「リーフ」もトップ20位にすら入っていない。日産は世界のライバルを意識した特徴あるEVを出す必要があるだろう。

BYD「ATTO3」が日本のEV産業を目覚めさせる黒船になってくれることを期待する。

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