チームプレイができないダメな上司の思考

そして、プレイング・マネージャーであっても、本来のマネジメント業務に7~8割は使えるようにすべきでしょう。そうでないと、「自分はこう働いてきたから、おまえたちもやれ」と言うばかりになります。

かくいう僕も、マネージャーになりたての頃、まったくマネジメントができませんでした。「なんでこんなこともできないのか」と部下にイライラする日々。つい言葉がきつくなりました。僕は自分がもともと賢いタイプではなく人の倍努力するつもりでやってきたので、「部下ができないのは努力が足りないのだ」と思っていました。部下に仕事を「教えてあげる」必要があり、「部下に時間を奪われている」と思っていました。典型的なダメ・プレイング・マネージャーです。

あるとき、まったくうまくいかないことに気づきました。表面上は僕を慕っているように見えた部下が、陰で「あの人の下で働きたくない」と言っていました。気づけば、異動していく部下が多いのです。何より、成果が出ない。僕1人なら10できるところ、チームでやったら10以上できなくてはおかしいのに、10を下回っている……。

愕然とした僕は、冷静になってチームを見渡してみました。メンバーは萎縮して、十分に力が発揮できていませんでした。それにイライラして、僕が自分で頑張ろうとする。でも時間がとれない。悪循環に陥っていたのです。

あえて部下の前ではヒマそうに見せる

僕は考え方を変えました。

「僕1人なら10しかできないところを30や40にするために、チームみんなでやるんだ。部下たちは、そのために頑張ってくれる仲間なんだ」

鳶本真章『ミッションドリブン・マネジメント』(技術評論社)
鳶本真章『ミッションドリブン・マネジメント』(技術評論社)

「仕事を教えてあげる」ではなく、目標に向けて手伝ってもらうためにどうするかを考えるようになりました。プレイング・マネージャーであることに変わりはなかったのですが、メンバーと一緒にいる間はマネージャーに徹することにしました。メンバーの仕事を見て、声をかけ、相談にのります。

できるだけフラフラして、ヒマそうに見せました。忙しそうな上司には声をかけにくいと思ったからです。自分の仕事は、メンバーがいないときにやりました。朝早く出社して早く帰り、家でおこなうなどしていました。

こうやって、考え方を変え、やり方を変えたことで、チームの生産性は大きく伸びました。あんなに「頑張っても成果が出ない」とストレスをためていたのに、むしろラクに成果が出るようになったのです。メンバーが育てば、マネージャーはラクになるのだと実感しました。

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