仕事の目標ができたことで前向きになれた

そうして、ずっと気になっていたことを聞いてみた。

「以前、お子さんとの時間は増えても前向きな気持ちになれない、とおっしゃっていましたけれど、今はいかがですか?」

「たぶん、古巣の営業を離れても、環境対策を軌道に乗せるという仕事の目標ができたことで、子育ても悲観せず、前向きに携われるようになったんじゃないかな。僕の父親は忙しくて相手をしてくれた記憶がほとんどないから、息子とキャッチボールをするのが夢なんですよ。それから、妻が働きながら家のことも頑張ってくれているのには、勇気づけられています。

昔、奥田さんに仕事もお父さんも頑張ると宣言して、仕事はあの当時に計画していた通りにはいっていませんが……、でも、でもね、営業かバックオフィスか部署は別として、もう一度、チャンスはあるんじゃないかと最近、少しずつ思えるようになったんです」

苦しい経験も糧に、前を向こうと懸命に努めているように見えた。

赤ちゃんの世話をしながら家事をしているアジア人男性
写真=iStock.com/mapo
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パタハラは「表面化しにくい深刻なハラスメント」

男性が育休を取りにくい主因のひとつに、パタハラがある。育休など子育てに関する制度利用を妨害したり、制度を利用しようとすると嫌がらせを行ったりするハラスメントであるパタハラは、女性へのマタニティハラスメント(マタハラ)と同様、17年から事業主に防止措置が義務付けられている。

パタハラは、表面化しにくい深刻なハラスメントである。

厚生労働省が21年4月に公表した20年度「職場のハラスメントに関する実態調査」では、国の調査としては初めてパタハラに関する調査項目「男性の育児休業等ハラスメント」が加えられた。過去5年間に勤務先で育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者500人を対象に行った調査で、4人に1人(26.2%)が育休等に関するハラスメントを受けたと回答した。

また、調査対象者の33.0%が育休など育児に関わる制度を「利用しなかった」と答えた。パタハラを受けて利用を諦めた制度は、「育児休業」が42.7%を占めて最多で、次いで「育児のための残業免除、時間外労働・深夜業の制限」(34.4%)が多かった。

ハラスメントの内容については、「上司による、制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動」が53.4%と最も多く、「同僚による、繰り返しまたは継続的に制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動」(33.6%)、「繰り返しまたは継続的な嫌がらせ等(嫌がらせ的な言動、業務に従事させない、もっぱら雑務に従事させる)」(26.7%)が続いた。