元気に暮らしているように見える親だが、どのようなタイミングで介護の準備をしたらよいのだろうか。精神科医の井上智介さんは「まとまって親の生活の様子を見ることができる年末年始の帰省は、親の老化のサインに気付く良い機会。12のチェック項目を確認し、一つでも当てはまったら、すぐに行動に移してほしい」という――。
親の異変を見逃さない、12のチェック項目
年末年始の帰省は、親の加齢による変化を知る良い機会になります。ただ、意識しないで親と過ごしていても、なかなかこうした変化には気付きにくいものです。
身体や認知、精神面で加齢による衰えがあらわれはじめ、生活に不自由が生じるようになっても、住み慣れた家で暮らしていると、本人はなかなかその不自由さに気付きません。子ども世代が、できるだけ早く変化に気づき、対策を取ってほしいと思います。
では、子どもが気を付けるべき親の変化とは、どんなところでしょうか。親の様子を思い出し、次の12点に当てはまるものがないか、確認してみてください。
① 外出することが減り、週1回も出かけなくなった
② 階段を上り下りするときに、手すりをつかむようになった
③ 硬いものを食べなくなった。食べても食べにくそうにするようになった
④ 飲み物や汁ものを飲むときに、むせることが多い
⑤ 寝転んで過ごすことが増えた
⑥ これまで好きだったことに興味を示さなくなった
⑦ 今日の日付を間違えることが増えた
⑧ 季節はずれの服装をしている
⑨ 同じ話題を頻繁に繰り返すようになった
⑩ トイレや部屋の、電気のスイッチの切り忘れが多い
⑪ すぐに怒ったり、泣いたりなど、感情の起伏が激しくなった
⑫ 急ブレーキをするようになった、車にキズが増えたなど、車の運転に不安が出てきた
② 階段を上り下りするときに、手すりをつかむようになった
③ 硬いものを食べなくなった。食べても食べにくそうにするようになった
④ 飲み物や汁ものを飲むときに、むせることが多い
⑤ 寝転んで過ごすことが増えた
⑥ これまで好きだったことに興味を示さなくなった
⑦ 今日の日付を間違えることが増えた
⑧ 季節はずれの服装をしている
⑨ 同じ話題を頻繁に繰り返すようになった
⑩ トイレや部屋の、電気のスイッチの切り忘れが多い
⑪ すぐに怒ったり、泣いたりなど、感情の起伏が激しくなった
⑫ 急ブレーキをするようになった、車にキズが増えたなど、車の運転に不安が出てきた
大きくは、①から⑤が身体に関わる変化、⑥から⑫が認知などに関わる変化です。ひとつでも該当する項目があれば、ぜひアクションを取ってください。どのようなアクションを取ればいいかについては、あとで詳しくご説明します。
ポイントは「変化」
見るべきポイントは「どう変わったか」です。たとえば①については、以前は毎日のように外出していた人が、週に1回しか外出しなくなった場合は、大きな変化ととらえた方がいいでしょう。これまでは手すりにつかまらずスムーズに階段の上り下りをしていた人が、必ず手すりをつかむようになる(②)のも同様です。
食べるときの様子も注意してみてください。硬いものを食べなくなったり、食べにくそうにしている様子があれば(③)、かむ力が衰えている可能性が高いですし、むせることが増えていたら(④)飲み込む力(嚥下)の低下がうかがわれます。
居間でくつろいでいる時など、前は座椅子やソファなどで座っていたのに、寝転んでテレビを見たりしているなど、横になることが増えた(⑤)という場合は、体を支える筋肉が落ちている可能性があります。