時代は人口減少期に差し掛かり、地方都市の多くは、行政サービスや交通機関などの生活インフラの集約化・効率化が課題となっている。ところが限界分譲地を多く抱えた自治体は、現状ではそのスタートラインに立つことすらもできていないのだ。
「限界分譲地」が問いかけるもの
分譲地内には車両置場として利用されている区画があった。今回、当記事執筆のために数年ぶりに確認してみると、無造作に置かれた車両は撤去され、代わりに立派な倉庫が建っていた。
住環境を考えれば歓迎すべき変化だが、そもそも実需を全く考慮されないまま乱開発された旧分譲地を、今後も虫食い状に再利用を続けていくことが、都市計画や住宅政策の視点から見て最適解と言えるのだろうか――。
筆者自身、乱開発の産物である千葉県内の僻地の分譲地で暮らしており、管理者を失った自宅周辺の空き地の整備を続けている。だからこそ、その思いを拭えずにいる。
ある区画は流動性を失うほどまで荒廃・放棄される一方で、真隣の区画は宅地として利用され、住民が生活をしている。限界分譲地に住むことは可能だが、自治会は機能せず、道路や公園は雑草で埋もれることもよくある。
郊外の衰退・縮小とはよく言うが、現実にはきれいに整然と縮小しているのではなく、虫食い上に放棄された管理不全の住宅地の割合が、静かに拡大しているのだ。
場当たり的な住宅政策の無策ぶり、地価の下落による資産価値の消失、住環境の荒廃……。限界分譲地の問題は、都市問題の負の側面をもっともわかりやすい形で地域社会に突きつけている。