中国にとって北朝鮮は「盾」

中国はなんで北朝鮮の味方をするんだろう? じつはここにも中国の地政学的な思惑が隠されている。

北朝鮮という国は朝鮮半島という場所にあって、もとは大韓帝国という1つの国だったんだよ。

だけど1910年に一度、むりやり日本の領土にされて、第二次世界大戦が終わってからも今度はアメリカとソ連がやってきて、アメリカが現在の韓国を独立させて、ソ連が現在の北朝鮮を独立させた。

こうして朝鮮半島は分断されてしまい、2つの国ができあがったんだ。

この北朝鮮のある朝鮮半島は地政学的に重要な場所にあって、1950年に起きた韓国と北朝鮮の争い(朝鮮戦争)では、韓国にいたアメリカ軍を追い出そうと中国とソ連が北朝鮮と一緒に戦い、アメリカが韓国とともに戦ったんだ。

戦争はいま休戦になっているけど、現在でも朝鮮半島はランドパワーとシーパワーがぶつかり合う場所の1つになっているんだ。

中国の視点から考えてみよう。

北朝鮮とアメリカが仲良しになると、ライバルのアメリカがすぐ近くまできてしまうよね。中国としては、アメリカを遠ざける盾がほしい。それが北朝鮮というわけだ。

だから北朝鮮がミサイルを飛ばしても、中国が反対する核実験をおこなっても、中国は北朝鮮をかばって仲良くしている。北朝鮮は中国にとって大事な「盾」になっているから、北朝鮮の行動にはあるていど目をつぶっているんだよ。

ウクライナ戦争は「ロシアとNATOの代理戦争」

2022年、ロシアはウクライナに侵略をおこなった。

ロシアは侵略の理由を「2014年から続いてるウクライナの内戦で、ウクライナがロシア派の人たちを殺していて、それを助けるためだ」といっているんだ。だけど、そう主張している内戦は、そもそもロシアが自分たちの都合でクリミアを奪ったことにより起こった争いだよね。ロシアはそういって、自分たちを正当化したいだけなんだ。

ロシアが侵攻をおこなった本当の理由は、ソ連の崩壊と深く関係している。ソ連崩壊後に独立した旧ソ連の国は、ソ連の敵だったNATOに次々に加盟していったんだ。NATOは世界で一番大きな軍事同盟だから、ロシアがどれだけがんばっても勝てない。

そこに、ロシアのとなりのウクライナまで加盟してしまえば、敵であるNATOがとなり合ってしまうことと同じだ。

ロシアはNATOに入る前のウクライナを自分たちの手下にし、NATOとロシアのあいだにウクライナという「盾」をつくりたかったんだよ。

当然、そんなロシアの横暴は許されないよね。

ウクライナ侵略では、NATO加盟国や日本など、多くの国がウクライナの味方に回って、食料や兵器、お金を支援しており、ロシアとの貿易を止めたり経済制裁をおこなっている。だけど、ロシア側も負けを認めず、NATOのヨーロッパ諸国や日本に経済制裁をおこない、ウクライナには連日攻撃を続けている。戦争のゆくえはまだわからないけど、ウクライナを戦場にした「ロシアとNATOの代理戦争」になっていることは事実なんだ。