「世界初・業界初」の商品を作るにはどうすればいいのか。キーエンス出身の戦略コンサルタントである田尻望さんは「お客様自身も気づいていないニーズに応える商品には付加価値があり、競合他社品との差別化も図れる。この潜在ニーズを把握するためには、現場に足を運んで調査・観察する必要がある」という――。(第2回/全3回)
※本稿は田尻望『付加価値のつくりかた 一番大切なのに誰も教えてくれなかった仕事の本質』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
「実は欲しかった」が付加価値をつくる
付加価値とは、商品・サービスがもともと有している価値に「付加できた価値の量」です。ですから、原価(もともとの価値)に上乗せされた部分、かつお客様のニーズを叶えた部分に出てくるものです。
お客様のニーズを超えた部分は、付加価値ではなく、ムダになります。
この、付加価値の源泉である「ニーズ」には「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」があります。
顕在ニーズとは、お客様が頭の中で期待していること、つまりお客様自身が欲しているものを、自分で明確に意識しているニーズです。
表面化、表層化しているニーズと言っていいかもしれません。
例えば、新しいパソコンが欲しい、牛丼が食べたい、おしゃれしたい、旅行に行きたい、などが顕在ニーズです。
一方、潜在ニーズとは、自分でははっきりと気づいていないニーズです。
普段は意識していないけれど、他人からの質問や体験をきっかけに、「実は欲しかった」「こんなことがしたかった」と感じるのが潜在ニーズです。