中国はコロナのワクチン接種率が高く、人口14億人の90%前後が少なくとも2回の接種を終えている。ただ、これまでは感染者や濃厚接触者の徹底した隔離で感染拡大を抑えてきたため、中国製のワクチンにどの程度予防効果があるかは不明だ。
一方で、いま流行しているオミクロン株は、中国当局が盛んに警告しているほど致死率が高くないこともまた事実だ。中国当局の統計もそれを裏付けている。
中国本土の新規感染者数は23日に3万人を突破。上海がロックダウンされた今年4月の記録を上回り、データを比較できる2020年4月以降の最多を記録した。だが死者は今週に入りこれまでに首都北京で3人確認されただけだ。経済活動と市民生活を犠牲にしてでも、ゼロコロナを続ける意味があるのか。習政権の判断が問われている。
<追記>
アメリカのジャネット・イエレン米財務長官は11月14日、G20の場で、中国の景気後退は世界経済に大きな影響を与えるので、アメリカ製のmRNAワクチンを導入して感染を抑えてほしいと、暗に中国製ワクチンが効いていないという見方を示唆している。「米中首脳が最も議論すべきは台湾でもロシアでもなくゼロコロナだった」
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら