若者は「チャミスル」を飲んでいる

そんな中、若者のあいだではやっているのが韓国焼酎の「チャミスル」だ。

「チャミスル」は韓国のメーカーであるハイト眞露が醸造し、その日本法人の眞露が販売している。

竹炭を使い、原酒(粗留アルコールを連続蒸留したもの)を複数回ろ過することで、スッキリした味になっているのが特徴だ。

最近ではコンビニでも、チャミスルの360ml入りグリーンボトルを見かける。

マスカットやストロベリー、すもも、ピーチなど、いろいろなフレーバー(大半はアルコール度数13%)があるが、韓国ではプレーンな「フレッシュ」(アルコール度数16%)が国民酒的な位置付けだという。

「チャミスル」フレッシュ(プレーン)&マスカット
写真提供=眞露
「チャミスル」フレッシュ(プレーン)&マスカット

「コロナ禍が始まった2020年から、売り上げが急に伸び始めました」(内藤氏)

眞露は「チャミスル」の販売数量を公表していないが、若者を中心に大きく伸びているのは間違いない。

「韓国ドラマで見た」ことでヒット

なぜ、こうした現象が起きたのか。

紀行作家のチョン・ウンスクさん(ソウル在住)は、『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』(双葉社)など、韓国の酒に関して多数の著作をもつ。

そのチョンさんは、チャミスルのヒットについて、次のように話す。

「コロナ禍で韓国のドラマや映画をネット配信で観る人が増えました。韓国人の喜怒哀楽に酒はつきもの。うれしいときに一杯、悲しいときも一杯というのが韓国の文化です。その様子は、ドラマ・映画にもよく登場します。

その際の、乾杯のかけ声や、『ソメク』と呼ばれるソジュ(韓国焼酎)のビール割りの作り方など、日本とは違う飲酒文化が目を引いたのでしょう」(チョン氏)

コロナ禍で、『梨泰院クラス』や『愛の不時着』といった韓国ドラマが日本でもヒットした。そうした韓国ドラマには、グリーンボトルの「チャミスル」が登場する。

コロナ禍で在宅勤務が増え、家飲みが中心になる中、日本の若い女性たちが韓国ドラマの中に発見したのが「チャミスル」だったというわけだ。