「1カ月に1回以上酒を飲む」20代は93%

「若者は酒から離れたわけではない」

こう話すのは、ハイト眞露じんろ(本社・ソウル)の日本法人、眞露(同・東京港区)の内藤聡マーケティング部門マーケティング兼宣伝販促チーム長だ。

「眞露が実施した5000人規模の市場調査では、『1カ月に1回以上酒を飲む』と答えた20代は93%もいた。また、世代間で大きな差はなかった。この調査の対象が『お酒を飲める人』に限定されていることを割り引いても、こうした数字を見るかぎり、『若者の酒離れ』はそれほど起きていないように思います」(内藤氏)

1回に飲む量は減っているが、飲む機会は減っていない

ではなぜ「若者は酒離れしている」と思われたのだろうか。

「1回に飲むお酒の量は確かに減っています。ただ、飲む機会自体は減っていないのです。外食に行く頻度ひんどを調査したところ、20代男女の頻度は変わっていませんでした。おそらく、外食時の人数が減ったことと、人々の嗜好しこうが多様化したことが、1回に飲むお酒の量の低下をもたらしていると思います」(内藤氏)

確かに近年、日本では「大勢でガンガン飲む」光景を見かけなくなっている。

「かつては、会社の飲み会など、10人以上で外食する機会がたくさんありました。しかし、いまは大人数で飲む機会が減りましたし、飲む時のお店選びも変化しています。

最近の人は食習慣が多様化していて、今日はイタリアン、翌日はアジア料理と、いろいろなお店に行きます。行きつけのお店を作らないので、ボトルを置く習慣もうすれてきています。

その結果、1回の食事で飲む量が減っているのだと思います」(内藤氏)

また、飲むお酒の種類も多様化しているようだ。

「とりあえずビール、という光景が少なくなりました。市場調査でお酒の飲用経験を尋ねたところ、ビールの飲用経験は約6割、ビールをメインで飲む人は34%しかいませんでした」(内藤氏)

ビールを飲まなくなったことで、余計に『酒離れ』の印象が強まっているのかもしれない。