「ほかの子はできているから」とサポートを減らすのはやめたほうがよい
親としては、「学校にそこまでのことは頼めない」と感じるかもしれません。しかし、保育園や幼稚園の頃には、同じようなことをしていたのではないでしょうか。幼児の頃は、子どもが先生に提出物などを渡すのが難しいと思ったら、連絡帳を使って先生とやりとりをしていたはずです。小学校に入ってからも、本人が一人でやるのが難しいことがあれば、大人がサポートをしてもよいのではないでしょうか。
私は、子どもに何かうまくできないことがあったときに「もう何年生だから」「ほかの子はできているから」という理由でサポートを減らすのはやめたほうがよいと思っています。
子どもによって成長のスピードは違います。年齢やほかの子を基準にするのではなく、その子の状態に合わせて対応を考えていくことが大切です。
先生ができること:問題の対処でなく、予防に手間をかける
学校の先生にも同じように、「もう何年生なんだから、これができなければ困る」という発想を持たないようにしてほしいと思っています。特に、持ち物の管理や身だしなみ、時間を守ることのような生活習慣については、年齢を基準にして子どもを評価しないようにしてもらいたいです。
生活習慣の習得を、家庭でのしつけや本人の努力の結果だと考えている人もいますが、中には家庭でしっかり教わって、本人も一生懸命やっていても、特定の生活習慣が身につきにくい子もいます。例えば注意欠如・多動症(ADHD)の不注意の特性が強い子の場合、親も子もかなり努力していても、配布物をうっかり忘れてしまうことがよくあります。
そういう子どもには年齢に関係なく、一定のサポートが必要です。
一人の子どもをそこまで手厚くサポートするのは難しいかもしれませんが、私が見聞きしてきた現場には、うまく対応している先生もいました。
例えば、子どもにプリントを渡すときに「ランドセルに入れてね」と声をかけ、実際にプリントが入っているかどうかを下校の前に確認しているという先生もいました。
親も子も困らないように、手間をかけてサポートをしているわけですが、その先生は少し手間をかけることで、問題を未然に防いでいました。そこにポイントがあります。
親からの提出物が学校に届かない場合には、子どもに配布物を渡したかどうかを確認し、渡していなければ注意して、再度配布する必要が出てきます。場合によっては親にも連絡する必要があります。上手な先生は問題の対処に手間をかけるのではなく、先に子どもをサポートすることに手間をかけていたわけです。そうすることで、子どもを注意する回数を減らし、子どもの自信を守ることにも成功していました。
簡単ではないかもしれませんが、学校でそのように「予防型」の対応ができれば、理想的だと思います。