学校からの配布物をきちんと持ち帰れない子にはどう対応すればよいか。信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授であり、同附属病院子どものこころ診療部部長の本田秀夫さんは「子どもによって成長のスピードは違います。年齢やほかの子を基準にするのではなく、その子の状態に合わせて対応を考えていくことが大切です」という――。

※本稿は、本田秀夫『学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

学校からの配布物をきちんと持ち帰れない子

学校生活の困りごととして、プリントなどの配布物をめぐる悩みを相談されることがあります。

例えば、子どもが配布物をほとんどなくしてしまい、親が困っているという場合があります。親が子どもに「今日、学校からの配布物はあった?」と聞くと、子どもは「なかった」と答える。でも実際にはプリントが配られている。子どもはプリントを学校の机に置いてきていて、しかも受け取ったことさえ覚えていない。結果として、親は保護者会の日時などが把握できず、苦労している。

そういうご相談がしばしばあります。

ランドセルから荷物を出す子ども
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

子どもが配布物を持ち帰れない場合に、みなさんはどんな対応を考えますか?

親が「配布物は?」と聞いても、本人は覚えていない。ランドセルの中を探してみても、入っていない。その場合、親に何ができるでしょう?

学校の先生はどうでしょうか。忘れっぽい子には、丁寧に対応している先生が多いと思います。子どもに「このプリントはランドセルにしまってください」「帰ったら、必ずおうちの人に見せてくださいね」などと声かけをしている先生もいるでしょう。

それでも配布物を持ち帰れない子がいる場合に、どんな対応が考えられそうでしょうか?

親ができること:連絡帳で先生とやりとりする

親が「配布物はあった?」と聞いたとき、子どもが「そうだ」と気づいてランドセルからプリントを出せれば、問題はありません。または、学校に置いてきたことを本人が思い出して、次の日に持ち帰ることができれば、それで問題がない場合も多いと思います。

しかし、親がそのような確認をしても子どもが配布物を持ち帰れず、生活上の問題が起きているのであれば、なんらかの対応を検討したほうがよいかもしれません。

例えば、連絡帳を使って親と先生でやりとりをするという方法があります。親が先生あてに「プリントを持たせました」と書いておく。先生はそれを見たら、子どもに声をかける。また、先生からも「配布物があります」といったことを書く。そのような連絡を通じて大人同士で配布物の確認をすれば、困りごとは減っていくでしょう。