子供の勉強意欲を高めるにはどうすればいいのか。学習塾STUDYHOUSE代表の須合啓さんは「結果より過程に目を向けてあげてほしい。極端な結果重視は、子どもの学ぼうとする意志や意欲をくじいてしまう」という――。

※本稿は、須合啓『自分で考えて動ける子の育て方 「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

居間で息子を叱る親
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「1点」だとしても、それは偉業である

「うちの子は、あれだけ勉強して模試の点数が1点しか上がりませんでした」

あるお母さんからこう言われ、ついキツい口調で、「それは、子どもと同じように、週65時間勉強してから言ってください。勉強の難易度も上がり続けています。すごい1点なのです。心からねぎらってあげてください」とお答えしたことがあります。

私の塾に通いながら週65時間勉強している子たちは、ふつうに学校にも行き、勉強以外のさまざまなこともしながら、懸命のやりくりで時間をひねり出しています。言うまでもなく、これは人から「させられて」続くような甘いものではありません。自分で掲げた目標に向けてひたむきにがんばる、そのことに心の底から喜びと手ごたえを感じていなければ絶対に無理なことです。

自分を奮い立たせ、力を尽くすための子どもたちの血のにじむような努力と工夫。そのすべての「過程」を、私は本当にすばらしいと思っています。ところが、「1点」という「結果」が、かえってその偉業を見えなくしていたのです。

私たちおとなは、「結果のよし悪し」だけに気をとられがちです。でも、極端な「結果」重視は、子どもの学ぼうとする意志や意欲をくじいてしまいます。

「結果」重視な人は、アメリカの心理学者のアダム・グラントが「テイカー(taker)」と呼んだタイプの人、自分が望む「結果」を「もらおう」としがちな人に多いです。ぜひあなたは、グラントの言う「ギバー(giver)」になり、「与えよう」とする人になって、子どもの学びの「過程」に精いっぱいの応援を贈ってあげてください。