すべての勉強において、「答え」を知ることは大切な「ゴール」です。しかし、それだけでは勉強は成り立ちません。勉強には、正しいゴールを目指すための適切な「スタートライン」もまた必要です。
このスタートラインこそが、「問題」を正確に理解することなのです。どんな教科の勉強でも、問題の理解には「国語」の力が求められます。そして「要約力」は、国語の力を磨くためには必須なのです。
対話や叱るときに有効な「間」の使い方
私はかつて、中学校で校長をしていた祖父からよく叱られました。私のしたこと、言ったことが、まわりにどんな迷惑を及ぼすのか、「なぜ」それをしてはいけないのか、「どうして」それを言ってはいけないのか、本質的には何が「問題」なのか、短い言葉でぴしりと諭されるのがとてもこわかったものです。
そして何より恐ろしかったのが、「よく考えろよ」と言われたあとの祖父の沈黙でした。
祖父が黙ると、辺りは「しーん」と静まりかえります。私は冷や汗をかきながら、自分の言動をどう改めるべきか、必死に考えたものです。ときには私の祖父のように、相手に真剣に考えさせる厳しい「間」を与える話し方も参考にしてもらえたらと思います。
誤解のないようにつけ加えると、考える「間」は厳しいだけのものではありません。意見や考えの押しつけをせず、相手の話にも耳を傾けながら「対話」をしていると、考える「間」を、お互いにごく自然に与え合うことになります。「話題」になっていること、「論点」になっていること、「問題」になっていることを真ん中に置いて、意見を出し合いながら一緒に考えていく「過程」が生まれます。こうした「対話」は、子どもの考える力を大きく伸ばしていきます。
友だち関係のこと、大好きな趣味のこと、将来の夢のことなど、身近な話題で子どもと「論点」や「問題」を共有しながら、どんどん話をしてみましょう。「論点」や「問題」が共有できていれば、「対話」は楽しく盛り上がりますし、たとえ意見が食い違っても恐れることは何もありません。子どもは、価値観や主張を話し相手と尊重し合うやり方も学ぶ、いい機会になるでしょう。