アメリカの研究者による、ある実験の報告をご紹介しましょう。
病院の待合室で待つように指示を受けた人たちは、とくに「衣服を脱いで待っていてください」という指示を受けていないにもかかわらず、先に待合室にいる人たちが下着姿になっていると、全員が衣服を脱いでしまったそうです。
つまり「周囲の人たちと同じように、下着姿にならないと落ち着かない」という心理に至ったわけですね。アメリカ人は日本人よりもはるかに自意識が高い傾向にありますが、そんな彼らですら「まわりに合わせよう」とするのです。
この心理が、図書館や自習室でも働きます。図書館や自習室では、多くの人たちが勉強に取り組んでいます。周囲の人たちが真面目に勉強に取り組んでいると、自分も同じ行動を取らないとバツがわるい気持ちになるのでしょう。自分で自分に発破をかけなくても、周囲の人たちがあなたに発破をかけてくれるのです。
私自身、司法試験受験生だったころは、雨が降ろうが雪が降ろうが、必ず図書館に通うようにしていました。おかげで、精神的ストレスをさほど感じることなく、長時間の勉強を続けることができました。
誘惑する遊び友だちとは距離を置く
以上のように、誘惑アイテムがなく、かつ周囲が集中している環境に身を置けば、精神力が弱くとも集中できます。留意すべきは「誘惑アイテムがない」と「周囲が集中している」のいずれかが欠けてもうまくいかないということです。
誘惑アイテムをバッグいっぱいに詰め込んで図書館に行っても気が散りますし、最悪なのは遊び友だちの誘惑です。こうなってしまうと、図書館や自習室は遊び仲間の集合場所になってしまいます。
切磋琢磨できる勉強仲間であれば問題ありませんが(私自身、司法試験の受験生時代には、よき「戦友」たちに恵まれました)、単なる遊び友だちであれば誘惑アイテムと一緒です。
こういう人たちとは距離を置きましょう。