「広島を世界本社にするグローバル企業」
世界に打って出るからといってラクサスは広島から本社を移転するわけではない。インターネットで全世界がつながるなか、広島が世界本社になったとしても何の問題もないと考えている。
社長の児玉は広島について「ここは豊かな自然に恵まれ、食べ物もおいしい。逆に言えば、住みやすいから人々は内輪で固まり、閉鎖的になりがち」とみる。それでも広島から脱出するつもりはない。アメリカに留学している長女を除けば、家族も全員広島だ。
そもそも「閉鎖的」とはいっても程度の問題であり、広島に限らず日本全体の問題でもある。「日本は島国であるうえ日本語でも守られている。アメリカ人経営者と話していると分かるのだけれども、日本人のメンタリティーがなかなか分からないみたい。英語が通じるフィリピンではこうはならない」
児玉は必要ならばフットワークを生かして世界中どこにでも行く用意がある。だから「広島を世界本社にするグローバル企業」という構図に何の不都合も感じていない。
むしろ、未来を見据えれば、本拠地が瀬戸内というのはベストの選択かもしれない。ルーラル(田舎)起業家や里山・里海資本主義の主舞台になる可能性を秘めているのだから。(第3回に続く)
(文中敬称略)