放っておくと薬の種類と量は増えていく

血圧や血糖値が高めというだけで薬を出されますから、50代後半ぐらいから何らかの薬を毎朝、飲む人が出てきます。高齢になるにつれて検診で引っかかる項目が増え、実際に糖尿病や心血管系の病気にかかる人も増えてきますから、薬の種類も量も次第に増えてきます。

シニア鎮痛剤治療
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そのままいけば80代90代になったころにはどうなるのか、慢性的な不調はすべて歳のせい、病気のせいと思い込んでいるかもしれませんが、じつは薬のせいかもしれないのです。

そろそろ薬に対する考え方を根本的に見直したほうがいいでしょう。

飲まなくていい薬は飲まない。
飲んでも飲まなくてもいいような薬も飲まない。
飲んだほうがいい薬を必要なぶんだけ飲む。

この3つを守るためにはまず、医者とは堂々と付き合ってください。薬で調子が悪くなるときははっきり説明して「減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう。医者の私が言うのも何ですが、自分の専門領域しか眼中にない医者ほど、とりあえず病気の原因となる検査項目の数値、血圧や血糖値を下げようとします。予防や悪化させないためですからこれは仕方ありません。

かかりつけの薬局を1つ作って薬を整理してもらう

でも、心血管系の病気でも糖尿病のような基礎疾患でも、こういった項目の数値を下げるのが治療の第一歩と見なされますからどの医者も同じような薬を処方します。3つも4つもクリニックに通っていたらたまったものではありません。しかも2カ月分くらいどさっと出します。

そこで、せめて薬局をひとつにしましょう。医者が処方した薬をクリニックに近い薬局から出されるままに持ち帰るのでなく、できれば自宅に近い薬局を選んでお薬手帳も1冊にまとめ、薬剤師に話して用途がダブっている薬を取り除いてもらいます。

意外に知られていないのですが、薬を取り巻く状況はだいぶ変わってきました。

薬局の役割が大きくなってきます。「薬剤管理」などの名目で個人の薬剤情報の一元管理を目指しています。多剤処方や重複投薬を防止する方向に進んでいるのです。

医者が処方する薬を「仕方ない」と諦めてそのまま飲むのでなく、ぜひかかりつけの薬局を作って無用な薬は飲まないようにしてください。薬のことだけなら医者より薬剤師のほうが精通しています。