傾聴力とは…部下に「静かな時間を提供すること」

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。第4位は、『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?』でした。

林健太郎『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?』(三笠書房)
林健太郎『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?』(三笠書房)

リーダーは「聞く力」を磨くべきだ――。よく言われることですが、その理由を十分に理解している人は決して多くないでしょう。

本書によると、リーダーが聞く力を磨くべき理由は3つ。1つ目は、「定年というゴールに向けて仕事をし続けること」が当たり前ではなくなり、「仕事だから、文句を言わずにやってくれ」が通用しなくなったから。2つ目は、好かれる上司は「話を聞いてくれる上司」だから。3つ目は、「聞かないこと」によって部下から上司への反感が高まり、モチベーションの低下や退職につながりかねないから。どれも納得のいく理由ではないでしょうか。

本書は、部下の話を聞くときの心がまえを丁寧に教えてくれます。カギは部下に「静かな時間を提供すること」。沈黙に耐えられない人もいるかもしれませんが、そこはグッと我慢。やわらかく微笑んで、相手が話しだすのを待ちましょう。

傾聴力を磨けば、部下からの信頼度がアップするでしょう。その結果、チームワークが高まって成果が上がるなど、あなたの評価にもつながるはずです。

自分がやらなくてもいいことは周囲に任せる

第11位の『無駄ゼロ、生産性を3倍にする 最速で仕事が終わる人の時短のワザ』にもご注目ください。

伊庭 正康『無駄ゼロ、生産性を3倍にする 最速で仕事が終わる人の時短のワザ』(明日香出版社)
伊庭 正康『無駄ゼロ、生産性を3倍にする 最速で仕事が終わる人の時短のワザ』(明日香出版社)

忙しく働いているのに、思うような成果が上がらない――。そんな人には、本書がぴったりです。

本書では、仕事をサクサク進める80の「ワザ」が紹介されています。そのうちの一つは、「自分がやらなくてもいいことは周囲に任せる」。より大きな成果を出すために、誰かに助けを求めるのです。

そのためには、「一人でやったほうがいいこと」と「周囲にお願いするべきこと」の基準を持ちましょう。そして「自分がやらなくても結果に影響しないこと」は思いきって任せて、結果に影響するタスクのための時間を確保するのです。

とはいえ、いきなりお願いされると困ってしまう人も多いもの。気持ちよく任せるために、お願いの予告をしておくのがコツです。お礼を伝えるのも忘れずに。「○○してくれて、ありがとう、おかげ様で○○と来月の契約が決まりました」などと、手伝ってもらった効果を添えることで、相手は「また、手伝おう」と思ってくれるでしょう。

そのほかにも、ムダをなくす方法やうまく根回しをする方法など、ビジネスパーソンが知っておきたい「ワザ」が満載の本書。できるものから試してみませんか?

まだOLD SALES?「NEW SALES」への移行法とは

最後にご紹介したいのが、第12位の『NEW SALES』。

麻野 耕司『NEW SALES』(ダイヤモンド社)
麻野 耕司『NEW SALES』(ダイヤモンド社)

時代は刻々と変化しています。もしあなたが営業担当者なら、古い営業「OLD SALES」から脱却して新しい営業「NEW SALES」へと移行するために、本書がこれ以上ない教科書となってくれるでしょう。

「NEW SALES」のキーワードは「7つのS」。現場で働く営業担当者向けの「Story」「Surprise」「Scenario」「Sympathy」と、組織を動かす営業管理職に向けた「Share」「Score」「Significance」に分かれています。

例えば「Surprise」。顧客のご機嫌うかがい営業だったOLD SALESに対して、NEW SALESは顧客に驚きを届ける「サプライズ営業」です。

リモート時代においては、「近くまで来たので挨拶にうかがいます」は通用せず、そう簡単に商談の機会は得られません。そんな時代において、アポイントを獲得するには、サプライズ営業、つまりビジネスの成果につながる情報を提供するのが有効です。

その実践法として、データ情報で気付きを与えること、トレンド情報で気付きを与えること、セグメント情報で気付きを与えることの3つが挙げられています。

例えば、あなたが30代女性をターゲットとする生命保険の営業担当者ならば、「30代女性がかかりやすい病気」「その病気の治療に必要な費用と、それをカバーできる最新の保険商品」をまとめた資料を提供するのです。

一度身につけたノウハウを更新するのは難しいもの。自分のノウハウが古びていることを認めたくなくても、成果を上げるために本書を読んでみてはいかがでしょうか。目からウロコの発見があるはずです。

今月も、睡眠からFIRE、スモールビジネスまで、幅広いジャンルの本がランクイン。ほかにも、先月第6位だった『限りある時間の使い方』が第20位、第16位だった『できる人は必ず持っている一流の気くばり力』が第9位と、依然として多くの方に読まれています。来月はどのような本が多く読まれるのか、引き続きチェックしてまいります。

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