選択肢が多様であることを顧客に理解してもらえたら、いよいよ自社商品への切り替えを勧めたい。このプロセスでは競合と比較しながら自社商品をプレゼンしていくことになるが、気をつけたいのが「うちもトーク」だ。

横田雅俊カーナープロダクト代表取締役。外資系ISO審査機関にて営業職を経験。「最年少」「最短」「最高」記録を更新し、世界2300人のトップセールスに。営業に特化したコンサルティングファーム、カーナープロダクト設立。著書に『営業は感情移入』。

競合に劣る点がないことを示すために、「その機能はうちもついています」「うちもオプションでできます」と、「うちも~」を連発する営業担当者は多いが、これは逆効果である。

「うちも」は、競合と自社商品が同等同質であることを示唆する表現だ。同じならば、顧客は商品を切り替えるメリットを見出せない。ここで強調すべきなのは、「うちもできます」ではなく、「当社なら○○ができます」という切り替えによるメリットのほうだ。

メリットを訴求するには、数字やデータを使った裏付けが必須である。「とにかくA社より安いんです」より、「現状と比べて33%以上のコスト削減を実現できます」というように、数字で表現したほうが訴求力は高い。数字は具体的であるほどインパクトも強くなる。同じメリットを伝えるのでも、表現によって与える印象が大きく変わってくるので要注意だ。

相手の立場によって、メリットを感じるポイントが違うことも頭に入れておこう。一般的にBtoBの商品なら、現場のユーザーは価格より使いやすさ、購買担当者は使いやすさより価格を重視する傾向がある。

BtoCの場合でも、財布を握っている奥さんと他の家族では、重視するものが違う。どちらの場合でもポジションによって感じるメリットが異なるため、決裁に関わる人に合わせて競合との差別化ポイントを用意しておくべきだ。